第二話 魔法都市学園
魔法都市、それは東京都品川区全体に政府が作成した日本きっての都市である。日本は魔法作成のクオリティを上げるために品川区や他の指定都市の魔法と関係ない建物を一斉撤去。そして其処には魔法会社や魔法学校などを作り、魔法と関係ない人は一切魔法都市には入ってはならないという法律を作ったのである。
そう専門家が解説しているドキュメントドラマに幸村はキスしそうな近さでニュースを見ていた。
「ほら和樹見てみろ。こんな薄い箱の中に人が入ってるぞ」
幸村はまるでガラスの外からドレスを見てはしゃいでいる少女の様だった。
それから和樹は考え込んでいた。
それもその筈、家に帰り着き普通は見知らぬ少女が来たら驚くのが普通だが母親、妹、父親はまるで家族のように幸村と接したのだ。
「ユキちゃん。ごはんもうちょいしたらできるからね。お風呂にでも入ったら」
そう母親は言ったのだ。
幸村も不思議に思い和樹に聞いた。
「和樹これは一体どういうことなのダ?」
「分からないけど普通ではないことが起きてるな」
和樹は幸村がお風呂に入ったとき思い切って母親に聞いた。
「母さんユキの事なんだけどなんで家にいるんだっけ?」
そういうと母親は呆れた顔をして
「あんたが小っちゃい時に両親を亡くしたユキちゃんが帰る場所が無くなったから泣きながら私に引き取ろうってお願いしてきたんでしょ?」
そう昔に起きてないことを当然の事のように母親は話すのであった。
「ハハッ。そうだったな」
和樹はそう返した。
しかしこうあり得ないことが立て続けて起きると流石の和樹も頭が痛くなった。
ベットに入りスマホを見ていると和樹はふとインターネットで【真田幸村】で検索したが過去どころか真田幸村の事も出なかったのである。
歴史の教科書も見たが昨日まであったはずの真田幸村のページだけきれいに無くなっていたのだった。
お風呂から出てご飯を食べ終えた幸村は
「お主の母君から聞いた話だが、明日わらわは和樹が行く高校というものに編入試験を受けに行かなければならないらしいゾ。これで受かれば一緒に行けるぞ。よかったナ」
そう言い幸村は和樹と一緒のベットで寝るのであった
———【魔法都市学園中高一貫校 入学式当日 】———
そうこの日は魔法学園中高一貫校の高校の入学式であった。
普通なら中学校の時の親友と
「おい!また同じクラスかよー」
なんて言葉が飛び交うものだが和樹は状況が違ったのだ。横には金髪才女の美少女が俺の腕をとり並んでいるのだから。
「見てみろよ彼奴。女の子と手をつないでいるぜ」
「やべーな。魔法が使えない分際で」
そう此処、魔法学園中高一貫校はいわゆる上等魔法が使える優等生が通う魔法都市1位の学園であった。普通なら魔法が使えて当然の場所なのだが俺はあろうことか魔法が未だ使えず挙句の果てには同年代の奴に見下される存在だ。
二人は玄関に移動すると貼ってあるクラス表を見て驚いた。真田幸村の名前が真田 雪に変わっていたからだ。
「わらわの名前は幸村だぞ。ユキという名前ではナイ」
幸村は少しはぶてるのであった。
最初のホームルームの時間になり
「高校の試験でオール満点。今日から転入してきた真田 雪さんです」
担任は幸村を褒めたたえた。それもそのはず幸村は魔法実技試験、技能試験共に満点という偉業を成し遂げていたからだ。
しかし幸村は平然とした顔で特に喜んではいなかった。
時間がたち昼食の時間になると二人は食堂に向かった。がここでも
「見ろよ伊藤だぜ。」
「おいおいやめろって」
聞こえる大きさの陰口が響いていたが和樹は慣れっこだった。
「しかし隣の少女すげぇ可愛いな」
「あれらしいぜ。試験両方とも満点。彼奴には成り立たないのに何で行動してんだろうんな」
「和樹は彼奴に馬鹿にされて悔しくないのか?」
と幸村は和樹に聞くが
「構うだけ無駄さ」
そう言い、いつも通り食事をするのであった。食事を終えた二人は食堂から出た。しかし、和樹は明日の点数が平均以上でなければ実技試験で高校を中退させられるテストの存在を忘れていたのであった。