7話 ~デストラクション・プリンセス~ 怪力の破壊姫、あるいはつるぺた無乳ドワーフ姫
「――という訳なんだ」
ゴクッ。ウマー♪
「つまり、この猫耳小僧の呪いを解くには、全ての種類のおっぱいを集めて魔王を倒さねばならんのだな」
ゴクゴクッ。ウマー♪
「そういうことだ」
ゴクゴクゴクッ。ウマー♪
「ええい、ヴァニラよ! ゴクゴクうるさいのじゃ!!」
…………残念過ぎるほどの残念美人だな。
何杯飲んでるんだろう?
もうすぐデキャンタが空だよ。
しかし……美人の次は、美幼女の口から“おっぱい”の言葉が出てくるとはね。
「うほん! ……それでわらわにどうしろと? エレーヌを貸せとでも申すのか?」
エレーヌって……ああ、さっきの近衛隊長か。
そうか、そういう事か。
さすがにお姫様をパーティーに誘うなんてことはないよな。
「いや……エレーヌでもいいんだが、魔王の討伐だからな。出来ればロッティ、お前に参加して欲しいんだ」
誘うんですね、やっぱり。
「何っ! わらわに参加しろだとっ♪」
何故だ……
嬉しそうなんですけど?
「確かに相手が魔王だというのなら、エレーヌでは役不足かもしれんのう」
役不足?
近衛隊長が役不足で、お姫様が出陣って……どういう事?
幼女なんですけど???
まさかこのお姫様の方が、近衛隊長より強いって事?
「それに、ほら! 新しい武器も作ったんだろ? 試すのに持って来いじゃないか」
武器? 作る? お姫様が?? 幼女が???
いまいち意味不明な点が多いな。
「ふむ。確かにそうじゃな」
「大体にして、城に籠ってても暇なだけだろ?」
「まあ、そろそろ退屈してきた頃じゃ」
「という事で……参加しろよ!」
何が“という事”なのかさっぱり理解出来ないけど、ゾーイは誘導が上手いな。
変に上手過ぎな気もしないでもないけど……
でもさすがに無理なんじゃない?
だってお姫様だよ。
「よし♪ そこまで言うなら参加してやろう♪♪」
めっちゃウキウキなんですけど……
「言っておくが、フィルがリーダーなのが条件だぞ」
「無論だ。そうでなければ呪いは解除出来ぬのであろう?」
毎回すんなりだよな。
リーダーとかって、普通は一悶着ありそうなんだけど、この人たちは気にしないみたいだな。
「本当ですか! ありがとうこさいます、お姫様」
「フィルとか言ったな? よろしく頼むぞ!」
「こちらこそよろしくお願いします」
「それでじゃ。わらわの事はロッティと呼ぶようにな」
「えーっと……分かりました。ロッティですね」
「そうだ。今後もロッティでな♪」
また一人増えたぞ!
幼女だけど……
「ではわらわは準備をしてくるからな。少々待つのじゃ」
シャルロット、いやロッティはそう言って部屋を出て行った。
「おい、フィル。また剣が光ってるぞ」
ゾーイに言われて見てみると、またもや剣が光っている。
《無乳……つるぺた》
「無乳なのか……えっ? つるぺた???」
「何っ! ロッティは無乳なのか? しかも、つるぺたって……ププッ♪」
何でゾーイは毎回嬉しそうなんだろう?
「まあ、幼女ですからね」
幼女じゃあ、無乳でもつるぺたでも仕方ないよね。
「はあ? 何の話だ?」
「えっ? いや……何のって、ロッティの話ですよね」
「ロッティはお前より年上だぞ」
「えっ? いや、でも……」
どこから見ても幼女なんですけど……
「ドワーフってのはな。大人でも外にいた奴ら位だぞ」
そうなんだ。
てっきりお姫様の近衛兵だから、少女の部隊なのかと思ってたよ。
「お前、今までドワーフを見たことなかったのか? ドワーフってのは男も女も小さいんだよ」
僕の村にはドワーフなんていなかったし……
「あの……武器の話もしてましたけど……」
「フィル、お前何にも知らないんだな。本当に冒険者だったのか?」
すいません。
所詮、ど田舎のFラン冒険者ですから。
「ドワーフたちは武器作りが上手いんだよ。特にロッティは天才だな」
新しい武器が云々って言っていたのは、そういうことか。
「それにドワーフってのは、怪力なんだ。特にロッティは……」
いやな予感しかない。
「破壊姫って呼ばれている程だぞ」
破壊姫、ですか。
なんだかね、もう……
「しかし遅いな。一体、何の準備をしてるんだ?」
まさかロッティまでビキニアーマーとか?!
いや、さすがにそれはないよ……ね?