31話 ~ア・ギルド・イン・ザ・フォレスト~ 森のギルドにて、あるいはスリーサイズを届け出よう
ハーニアの西にある、魔物の森からさらに西に進むと、魔王の棲む森がある、らしい。
というか、今その森の入り口にいる。
ゾーイの転移魔法でここへ来たので、西なのか東なのかはさっぱり分からないけど。
もちろん転移の時は、ゾーイにしがみつき爆乳を押し付けられての転移だ。
魔力の少ない僕はこうしなければ危険なのだ。
そして魔力の少ない人がもう一人。
エマだ。
だけどエマは、なぜかゾーイにしがみついた僕にしがみついた。
結果僕は、ゾーイの爆乳とエマの普乳に挟まれた形でここに転移する羽目になった。
まあ、どうでもいいんだけどね、そんな事。
それより……
「建物があるね」
こんな場所に建物が建っている。
「冒険者ギルドの出張所だろう」
ヴァニラが言うには、魔王の森に挑む冒険者の為にある、ギルドの出張所らしい。
よく見ると森の入り口に看板が立っている。
【魔王討伐に向かう者は、必ずギルド⇒に届け出をする事】
ご丁寧に出張所の方に矢印まで書いてあるね。
「届け出しなきゃないみたいだね」
「そうだな。面倒だがあとで文句を言われるのも嫌だし、一応寄ってみるか」
ゾーイと僕を先頭に、ギルドの中へ入ってみた。
「あらっ? 今日は盛況ですね!」
中にはギルド職員の女性が一人。
「盛況、だと?」
「今日はあなた達で二組目です。普段はほとんど誰も来ませんからね」
二組で盛況らしい。
「先客がいるのか?」
「そうですね。三人組の……あなた達と同じ女性だけのパーティーでしたよ」
そう、このパーティーは全員女。
って……僕は?
「あのですね、ここに約一名男がいるんですけど」
「あれっ? 一人だけ男性ですね……って言うか、男の子?」
「こいつはこれでも16歳だ。ちょっと訳ありで、今はこの姿なんだ」
「訳あり、ですか?」
「そうなんです。ちゃんと冒険者の登録証もありますよ」
「別に疑ってる訳じゃないわよ。そもそも、そんなのどうでもいいし」
「どうでもいいって?、森に入るには届け出しなきゃないんでしょ?」
「冒険者云々はどうでもいいの。遺体が発見されたときに誰なのかが分かればいいのよ」
そういう意味での届け出だったのか。
「とにかくこれを全員書いてくださいね」
そう言って、ギルドの女性はゾーイに人数分の用紙を渡した。
「名前に種族、それに容姿や服装を書けばいいんだな。フィル、みんなに渡してくれ」
はいはい、わかってます。
リーダー兼雑用ですね。
しかし、何だこれ?
名前に種族、髪の長さや色、身長に服装なんかは分かるとして……
なぜスリーサイズまで?
しかも女性のみって、どういうこと?
あと、なんで異名まで書く欄があるのかな?
「身長やスリーサイズはあるが、体重と年齢を書く欄が無いぞ」
ヴァニラの言う通り、体重と年齢の欄は無い。
「女性に体重や年齢を聞くのは失礼に値するので、削除したんですよ」
体重や年齢は失礼で、スリーサイズは失礼じゃないとか、意味不明なんですけど?
「身長やスリーサイズなんて測ったことないのニャー」
僕も無いな。
いや、スリーサイズじゃないよ! 身長の事だよ。
そもそも呪いで小さくなってるし……
「前に測ったときよりは、胸が育ったかも? なのじゃ」
それはないんじゃないかな?
今現在でも無乳なのに。
「そんな方の為に、奥の部屋にメジャーと身長計をご用意しております」
なぜかその辺は準備万端なようです。
「メルなんて生まれたてだしな。よし、せっかくだ、全員で測るぞ!」
スリーサイズは勝手に測ってもらうとして……
「じゃあ、僕は身長だけ――」
「フィル! みんなのサイズを測ってくれ」
「………………はいぃぃ?! 何で僕が?」
「リーダーだろ? メンバーの管理はリーダーの仕事だぞ!」
管理って、スリーサイズは管理しなくてもいいんじゃないかな?
……なんていう常識は通用しないな。
ゾーイには。
「わらわが最初なのじゃ! 服は脱いだ方がいいよな?」
「いや、そんなに正確に測らなくても――」
「そうだな、せっかく奥に部屋もあるんだから裸で測れば正確だろ?」
「えっ?!」
驚いたのはエマひとりだけだ。正確には僕もだけど。
他のみんなは平然と奥の部屋に入っていく。
なんでわざわざ素っ裸で測るんだ?
しかも測るのは僕だというのに……
「フィル君……見ないでね」
「はい」
昨夜の風呂で思いっきり見てますけどね。
「それと…………触らないでね」
「……はい」
極力、気を付けます。
「おい、フィル! 早くするのじゃ」
「今行きますって!」
こうして、急きょギルドで身体測定が始まった。
なぜか全裸で……




