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25話 ~ノー・オーディナリー~ 普乳がいない、あるいは普乳が普通じゃなかった件

 朝……ゾーイの出会ってから三日目の朝だ。

 なんだかんだでたった二日で9人の仲間が集まった。

 初日にゾーイ、ヴァニラ、ロッティにラエル、そしてアリス。

 おっぱい的言えば、爆乳、美乳、無乳に貧乳、そして巨乳。

 昨日はニケにクレオ、グレモリーにメル。

 微乳に豊乳、魔乳に超乳だ。


 残りは普乳。

 そう……普通のおっぱい。

 それさえ揃えば、パーティーは完成だ。

 後は魔王を倒すのみなのだ!


「おはようございます、ご主人様。昨夜はお疲れ様でした」


「おはよう、アリス」


 さすがはアリス。

 一番に起きて朝食の準備をしている。

 しかしアリスが言う“昨夜はお疲れ様”は何を指しているのだろう?


 素直に取れば、グレモリーの召喚とメルの製造なんだろうけど……


 メルが動き出した後、ゾーイが“どうせメルが裸なら、みんなで風呂だ!”なんて言い出したんだ。

 予想はしてたけどさ。


 風呂には女性が9人、男は僕一人。

 もちろん全員すっぽんぽんの素っ裸。

 当たり前だよね、お風呂だもの。


 うらやましいですって?

 本当にそう思う?


 出来たら体験させてあげたいよ、9人の女性とお風呂。

 疲れが取れるはずのお風呂で、疲れが倍増……

 有り得ないよね。

 


「おい、フィル! 朝っぱらから何をブツブツ言ってんだ?」


 いや、ゾーイ……全部あなたのせいなんですけど?


「フィル様、おはよう」


 メルも起き出してきた。

 もちろん服は着ている。

 グレモリーから貰ったチャイナドレスとかいうやつだ。

 よく分からないけど、何でも異世界の服らしい。


「おはよう、フィルちゃん♪」


 そのグレモリーも起き出してきた。


「妖魔なのに朝早いんだね?」


「何その偏見。妖魔だろうと淫魔だろうと、朝早くたっていいじゃない?」


 まあ、そう言われればそうなんだだけどね。


「それに朝っぱら淫魔のお世話になるのも悪くないのよ」


 ……それは聞かなかった事にしよう。


「と、ところでアリス。みんなは?」


「まだお休みのようですが、どうしますか? お先に朝食をお召し上がりになりますか?」


「うーん……別に僕は、みんなが起きてからでもいいけど?」

「いや、先に食おう」


 ゾーイはさっさと食べたい様子だ。

 お腹が減ってるのかな? ……って、そんな訳ないか。


「さっさと食って、普乳を見つけに行くぞ」


「えっ! みんなで行かないの?」


「たかが普乳だろ? オレたち二人で充分だ。他のやつが起きる前に出かけるぞ! ……面倒だからな」


 つまり、みんなが起き出す前に、さっさと出かけてしまおうという魂胆なようだ。


「何なに? 街に行くのかい? ワタシも連れて行ってよねぇ!」

「アタシも行きたいです、主人マスター


「だってよ、ゾーイ」


「……仕方ないな、二人とも大人しくしろよ」


「分かってるわよ♪」

「分かったです!」


 グレモリーは魔王と言う立場上、街を堂々と歩くことはあまりないだろう。

 メルに至っては、昨日生まれたばかりで何もかもが初めてなのだ。

 二人とも嬉しそうにしている。 


「では、すぐに準備を致します」


 さすがはアリス。

 空気を読んで、すぐに朝食の用意をはじめた。






 何とかみんなが起き出す前に朝食を取り終わり、街へと繰り出した。

 もしかしたら、今頃は誰かが起き出して、文句の一つも言っているかもしれない。


「久しぶりの都会だねぇ」

「アタシは初めてなのです」


 そりゃあ、昨日生まれたばかりですから……


「とりあえず、冒険者ギルドへ行ってみるか」


「そうだね」


 仮にも魔王討伐に参加するわけだから、やはり冒険者の方がいいだろう。

 まさかその辺の女性に向かって“魔王討伐しませんか?”なんて言ったら、怪しい人認定されてしまう。

 魔乳、超乳、爆乳の三大おっぱいを引き連れた猫耳少年ショタなんて、それだけで怪しさ全開なのに……


「あそこのようだな」


 アリスに書いてもらった地図を見ながら進むと、ギルドはすぐに見つかった。

 さすが大都市のギルドだ。

 建物も大きいし、多くの冒険者が出入りしている。

 もちろんギルドにいる冒険者の中には、女性も相当数いた。


「さてと……あとは、普乳を見つけるだけだな。よろしく頼んだぞ、フィル!」


 嬉しいのか悲しいのか……

 呪いの影響で、見ただけでおっぱいを判断できるようになってしまった。

 少なくとも便利なのは今だけだ、というのは確かだ。


 普乳と言うだけあって、普通サイズのおっぱい。

 さすがに簡単に見つかるはずだが……


「うーん…………」


 あれは巨乳だし、あの人は微乳、こっちは貧乳にあっちは美乳。

 あれ? 普乳はどこだ?


「どうした、フィル?」


「何か……いないんだけど」


「なんでだ? 普乳だぞ! 普通のおっぱいだぞ?」


「なんで、って言われてもね」


 いないものはいない。

 少なくとも僕の判断では、ここに普乳の女性は見当たらない。

 このギルドの、見える範囲にいる女性に……


 普乳がいない。

 普通なはずなのに……だ。


「ほら、あいつなんかどうだ? あっちもそれっぽいぞ」


「あれは美乳かな? あっちは貧乳……盛ってるだけみたい」


 これだけいるのに普乳がいない。

 ギルドの女性職員ですら見当たらない。


「マジかよ」


 普乳だから簡単に見つかる。

 そう思っていた時が、僕にもありました。


 しかし現状は、そう簡単な話ではなかった。


「とにかくここに普乳はいません。一旦、出ましょう」


 予想外の出来事だ。

 まさか普乳が最後の難関だとは……


 どうする?

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