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17話 ~レディ・クルチザンヌ~ 歓楽街の淑女、あるいは踊る豊乳


「――という事なんだ」


 ゾーイの説明を聞いて、呆れ顔でクレオは言い放った。


「なんなの? そのバカみたいな呪いは……」


 皆さんそうおっしゃいます。


「つまり何かい? おっぱいを全部揃えなきゃ、魔王を倒したところで、この猫耳になった小僧の呪いは解けない、と……」


「そういうことだな」


「それでヴァニラ。あんたたちは、この馬鹿馬鹿しいパーティーにあたいも参加しろと?」


「もちろん、そのつもりで来たんだがな」


「せっかくのあたいの店を、たためとでも言うのかい?」


「しばらくの間だ。さっきのリアーヌとやらにでも任せておけばいいだろ?」


 うーん……

 今回はさすがに無理そうな気がするぞ。


「ねえ、ゾーイ。今回は無理っぽくない?」


 小声でゾーイに尋ねてみた。


「いや……そうでもないぞ。クレオは飽きっぽいからな」


「飽きっぽい?」


「ああ。ヴァニラも言ってただろ?」


 そう言えば確かに言っていた。

 “飽きた”と書置きして、隊長を辞めたって……



「うーん……まあ、リアーヌなら任せても問題ないか……最近飽きてきたしねぇ」


 なんか言ってますね。

 飽きたとか何とか……


「しかしほら。おっぱい枠も残り4つなんじゃないのかい?」


「そうだな。確か残りは、魔乳、超乳、豊乳、そして普乳だったな。そうだよなゾーイ?」


「その通りだ。だが魔乳、超乳はオレより大きくなければならんからな。クレオなら……」


 豊乳ですよね……たぶん。


「ふん! ゾーイより大きい奴なんてそうそういやしないよ」


 まあ……ね。

 僕もそう思います。


 確かに少しくらいゾーイより大きいおっぱいの持ち主はいるかもしれない。

 それでも爆乳レベルだろう。

 魔乳、超乳ともなると、言葉の響きから考えても容易な感じはしない。


 そう……

 正直、おっぱいの呼び名なんて実際は微妙なんだ。

 微乳と貧乳の違いは?

 爆乳と巨乳のボーダーラインは?

 豊乳って? 美乳って?

 結局は言葉のイメージでしかない部分はかなりある気がする。

 そうなると、クレオのおっぱいのイメージは……


「“豊乳”だろうな」


 うん、ぴったりな気がする。

 判定するのは僕じゃないけど。

 

「……分かったわよ! もしあたいがその豊乳なんだったら、この馬鹿げたパーティーに参加してやろうじゃないのさ」


「リーダーはこの猫耳小僧のフィルだぞ。それでもいいのか?」


「リーダーなんて誰だって構いやしないよ。例えその小僧がFランクだったとしてもね!」


 すいません、ビンゴです。

 FランクオブFランクの底辺冒険者スライム・スレイヤーでございます。


 まあ、これであとは魔剣の判断次第ってことだけど……


「おい、フィル。光ってるぞ」


 またゾーイが嬉しそうだな。



《豊乳》


 はい、豊乳ですね!



「なんだって? おい、フィル! 早く教えろよ」


 だから何でそんなに喰い気味聞いてくるのさ。


「豊乳だそうです」


「おお! やっぱりか。クレオ、お前豊乳だってよ! これで参加決定だな!!」


「そう……まあ、仕方ないわね♪」


 仕方ないと言ってる割に、何だか嬉しそうなのはなぜだろう?

 やっぱり飽きてきてるのかな?


「えーっと、フィルって言ったかしら? あたいは“クラブ・リヴェール”の経営者兼踊り子ダンサークレオよ。よろしくね〜♪」


「よろしくお願いします、クレオさん」


「クレオでいいわよ、猫耳リーダーちゃん♪」


「あ……はい」


 元諜報部、そしてヴァニラと同じ元聖騎士団遊撃隊長なら強いのは分かってるけど、今は踊りダンサーなんだよね?

 魔法討伐に踊りダンサーって必要なのかな?

 そもそも冒険者パーティーに必要なのかさえ、僕にはわからないけど……


 まあ、今のメンバーでも魔王を倒せそうな話だし、とにかくおっぱいさえ揃えばいいんだけどね。


 そう言えば、魔王で思い出した!


「クレオさ……いや、クレオ。さっき魔王が13人って言ってたみたいだけど……」


「そうよ。それが何か?」


 やっぱりそうなのか、魔王って13人もいるんだ。

 ぜんぜん知らなかった。


「魔王って一人だけなんだとばかり……」


「何だ、フィル。お前、魔王がたくさんいるのを知らなかったのかよ? 冒険者だろ? そんなんだからFランクなんだよ!」


 それとFランクは関係ないと思うんだけど?


「え、なに? フィルは本当にFランクだったのかい?」


「なんかすいません」


「謝る事なんかないわよ! この豪華なメンバーで、リーダーがFランクなんて逆に面白いじゃないのさ♪」


 それって……面白いんですか?

 いやそれより魔王の話だ。


「まさか、その13人全員倒さなきゃ呪いが解けないとかって事は……」


 ……ないよね?


「それはないな。確か一人でいいはずだぞ! それに魔王ったって、どこにいるのか分からん奴までいるんだぞ! そんな奴どうやって倒すんだよ」


「どこにいるのか分からないって……それって、魔王なの?」


「魔王認定されれば、魔王だからな」


「魔王……認定?」


「ほーんと何にも知らないんだな、フィルは!」


 ……すいませんね。

 何にも知らないFランクで……

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