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15話 ~バックアーリー・アサシン~ 路地裏の暗殺者、あるいは微乳猫耳娘


「――という事なんだ」


「何のニャ?! その訳の分からない呪いは」


「オレにそんな事を言われてもな。とにかく、お前は仲間になればいいだけだ!」


 相変わらず強引だなぁ……


「それとも、触手でホニャララ――」

「わ、分かったのニャ、仲間になるのニャ」


 自業自得なんだろうけど、少し可哀想な気もする。

 けど、こっちも背に腹は代えられない。

 呪いを解くためには、どうしてもおっぱい、いや仲間が必要なんだ!


「だが、問題はおっぱいだな」


 そう……

 いくら仲間になると言ってくれても、残された“おっぱい枠”は限られている。

 現在パーティーにいるのは、爆乳、巨乳、美乳、貧乳そして無乳。

 この猫耳娘は……


「微乳か?」

「微乳ですかね?」

「微乳だろうな」


 お世辞にも大きいとは言えないおっぱいは、どう見ても微乳。

 百歩譲っても普乳にしか思えない。


「びにゅう? 美しい乳なのかニャ?」

「いや、それは無いな!」


「ニャぬ?」


「美しい乳とは、こういう乳を言うんだ。お前のは明らかに、小さいぞ」


 ヴァニラが誇らしげに自分のおっぱいを指差している。

 どうやらヴァニラは“美乳”という呼び名を気に入っているみたいだ。


「ぐぬぬなのニャー」


「まあまあ、判断するのは魔剣ですから。もしかしたら普乳かもしれませんし」


 それはないだろうけど。

 魔剣は意外と辛口評価だからね。

 特に小さい方には……


「おい、フィル。魔剣が光ってるぞ♪」


 だからなんで、ゾーイは毎回楽しそうなんだろう?



《微乳……小さい方》



「えっ? ああ……はい」


 ご丁寧に“小さい方”と補足付きだった。



「何だ、何だった?」


「ええっと……小さい方・・・・の“微乳”だそうです」


「プッ! 小さい方ね」

「だろうな」

「小さい……と……ニャ」


「と、とりあえず良かったんじゃない?」


「まあそうだな。これで貧乳だったらリエルと被る所だったしな」


「貧乳? そうなのニャ。貧乳も無乳もあるのニャ! ボクはまだマシなのニャ♪」


 それ、リエルとロッティの前で言わないでね。

 お願いだから……



「そう言えば、お互い自己紹介がまだだったね。僕はフィル、よろしく」

「オレはゾーイ」

「わたしはヴァニラだ」


「ボクはニケ、冒険者はAランクなのニャ。ギルドでは“路地裏の暗殺者バックアーリー・アサシン”とも呼ばれてるのニャ」


 僕はFランク。

 村では“底辺冒険者”(スライム・スレイヤー)と呼ばれていたのにゃ〜。

 ……虚しい。


「何か言ったかニャ?」


「いえ、何も……」


「でも暗殺者アサシンは比喩なのニャ。本当の仕事は斥候スカウトなのニャ! よろしくなのニャー!!」


 こうして、猫耳族のニケを、勘違いたなぼたでゲットできた。


 微乳、ゲットだぜ!! ……いや何でもない。


 これで残りはあと4人だ。

 何だか思ったより簡単だな。

 僕は何もしてないけど……



「ところで、ニケ。この街で、クレオという女を知らないか?」


「クレオ? ヴァニラの知り合いなのかニャ?」


「ああ。たぶん歓楽街のような場所にいると思うんだが……」


「歓楽街……クレオ……?! それって“歓楽街の淑女レディ・クルチザンヌ”の事かニャ?」


「わたしにそんな通り名を言われてもな」


「でも、ボクの知ってるクレオと言えば、それしかないのニャ……」


「まあ行ってみるしかないだろうな。ニケ、その歓楽街に案内しろ」


「分かったのニャー」


 こうして、ニケの案内で歓楽街を目指すことになった。






「この橋の先がハーニアの歓楽街、“至福の島イ・ラプセル”なのニャ」


 至福の島か……

 確かに川に浮かんだ島だ。


「ここには安い屋台から高級クラブ、娼婦館まであらゆる店があるのニャ」


「クレオはここにいるのか……まあ、彼女らしいな」


「クレオって女性ひとは元聖騎士なんですよね?」


 なのに歓楽街にいる事が彼女らしいって……

 ヴァニラの言ってる事はよく分からないな。


「そうだぞ。私が副隊長時代の遊撃隊長だな」


 そういえば、元上司って言ってたね。


「クレオって女性ひとが辞めてヴァニラが隊長になったって事?」


「そういうことだな」


「なんで隊長辞めたのかな?」


 せっかく聖騎士団の隊長にまでなったのに。

 まあ、ヴァニラもなんだけど……


「飽きた、と」


「えっ? 何て?」


「一言“飽きた”と書置きして、勝手に辞めたんだよ」


 …………なにそれ?

 聖騎士団だよね……そういうの有りなの?

 どんな女性ひとなんだ???



「ここがクレオのお店“クラブ・リヴェール”なのニャ!」



 店は目の前。

 会えば分るよね、どんな女性ひとか…… 

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