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≪Creating Tradition≫  作者: 蒼烏
第一章
9/12

8:初戦闘と刀技

お待たせしました!

一ヶ月近く遅れてしまいましたが、何とか投稿です。リアルが忙しくてなかなか書く暇がありません……(汗)

OnlyQuest:【Grandtale】


大神グランテイルは、巨大な海龍であると云われている。

大海より姿を現し、其の鱗を眷族に与え陸を築いたのだと。

黄金(きん)の翼を持つ不死鳥だとも云われている。

その涙より海が生まれ、舞い落ちた羽根が大陸と為ったのだと。

大神は巨大な大樹なのだと唱える者も居る。

世界そのものに深く根を張った大樹こそが創世の樹であり、全ての母なのだと。


だが、その姿を見たものは居ない。

幾千の時を生きる精霊も。

遥か昔に世を治めた種族の長も。

悠久の時を生きる伝説の霊獣さえも。




グランテイルは全ての種に伝わる創世の神。

それは貴殿にとってもまた同じ。例外は無く、この世の神はただ一人。


さて、グランテイルとは『何』だ?






自室に帰り、表示されたクエスト内容を食い入るように見つめる。

何度見返しても、意味が解らなかった。掲示板に載せようかと思う一方で広めてはいけないと告げる自分も居る。

「何だ、これ……」

結局その存在を掲示板に書き込むことは無いまま、夜が明けた。


翌日、早朝から再び修行が始まる。

ひたすら回避を続ける事二時間。朝の七時を過ぎた頃、朝食。白米に焼き魚、汁物、おひたし、漬物。病院ではまともに食べることのなかった和食に感動を覚える。

「食い終わったら今日は刀の持ち方から指導する。ま、基礎だけ教えたら後は実践あるのみだからな。≪選定者(プレイヤー)≫なら覚えも早いだろうから大丈夫だろ」

「判りました。刀、は……」

昨日もう一度空月を試したが、持ち上げるのがやっとで結局構えるには至らなかった。

「あぁ、こっちで用意する。流石に空月を持てたぁ言わねぇよ」

そんなに簡単に使えるようなもんじゃねぇ、笑われる。

「大方、強くなったから扱えるようになったんじねぇかと期待したんだろう。だが、あれ程の名刀は使い手を選ぶ。あれは三振りの中で最も扱いの難しい刀だ。中途半端な覚悟で振るえるもんじゃない」

覚悟、決めるんだな。思わず息を飲む程鋭い師匠の目が私を射る。それに気圧される事無くゆっくりと頷くと、師匠は満足そうな笑顔を浮かべた。

「良し。じゃ、準備出来たら昨日の練習場に集合な」

こくりと頷くと、食べ終わった食器を下げ、手早く皿洗いを済ませる。殆どの家事は弟子の仕事だ。掃除、洗濯等いつでも出来る事はは朝の修行の前に終わらせてある。

部屋に戻り、非表示にしてある狐の耳と尾を現してブラッシング。ブラッシングと入浴時にしか出していないので忘れそうになるが、非表示のときにでもきちんと感覚はあるし、現している状態だと少しだけMPの回復に補正がかかるのだ。修行を終え、一人立ちしたら戦闘時には出して居た方が有利かもしれない。掲示板によれば希少種族(レア)狩りと呼ばれるレア種族専門のPKもいるそうだからあまり見せびらかしたくはないが。獣人族(アニマテイル)(狐獣人)といえばごまかせるだろうか。

なんてことを考えながらもとかしおわり、艶のある尾をひとしきり撫でて満足すると、元のように耳と尾を消して師匠のもとへ向かった。




「ッグルゥ……!」

低い唸り声を上げる魔物(モンスター)に、初心者の刀を構える。

すぅ、と刀身に紅い光が宿る。刀系武器の初期技、一閃(イッセン)。魔物の名は草狼(グラスウルフ)。町の周辺に生息する、比較的弱い魔物だ。草狼が飛びかかってくるタイミングに合わせて、攻撃を叩き込む。

一閃(イッセン)!!」

僅かに体をずらし、攻撃を避けての一撃。草狼の急所___首を深く切り裂くと、纏っていた光が霧散する。同時に、狼はどさりと地面に墜ちて動かなくなり、一拍遅れてポリゴンの破片となって消え去った。

「上出来だ」

師匠に褒められ、ほっと息を吐く。実戦向きの持ち方、立ち方を教わった後、草原に連れ出されぽんとこの狼の前に放り出されたときはどうしようかと思った。本当に死にかけたのだ。全身爪痕噛み痕まみれで、上級回復薬(ハイポーション)が無ければ死に戻りしていただろう。何度も挑戦するうち、技のタイミングを掴めるようになってきた。とはいえ、今のが初めて倒した草狼なのだが。


-【種族】がレベルアップしました-

-【基本武器操作術:刀】がレベルアップしました-

-【気配察知】がレベルアップしました-

-《称号》戦闘経験者 を入手しました-

-《称号》システムは未解放です-


ステータスを確認する。


來/妖狐Lv.2

HP 120/120

MP 900/900(100)

《見習い術師》Lv.1


《所得スキル》

【気配察知】Lv.3

【索敵】

【隠蔽】

【暗殺術】

【基本武器操作術:刀】Lv.6

[一閃(イッセン)]

[白雨(シラサメ)]

[陽裂(ヒサキ)]

【高速詠唱】

【火魔法】

[火球]

[火縛]

【水魔法】

[水球]

[水縛]

【式術】

【先祖返り】

【鑑定】Lv.2

【回避】Lv.10(MAX)



レベルアップするとHP、MPの値は最大値まで回復するらしく、傷が全て癒えている。

まだやれる、と師匠を見上げると、師匠もその気でいたらしく別の草狼を見定めていた。

「次はあれだ。もう二、三匹倒したら魔物を変える」

師匠の視線の先には一匹の草狼。心なしか先程より毛艶も体格も良い。

気合いを入れ直さないと。此方に気づき向かってくる草狼を視界の中心に据え、大きく息を吸う。

白雨(シラサメ)!」

刀身が青白く輝く。

一閃が属性を伴わない通常攻撃技であるのに対して、白雨は光属性を伴う技だ。雨とつくから最初は水属性なのかと思ったのだが。そして、属性攻撃には状態異常効果を持つものもある。

白雨は__________。

「ふっ、____!!」

刃が暗灰色の身体に紅い線を描く。

かすった程度で大ダメージを与えられなかった為、草狼は素早く体制を整えると此方に向き直り、余裕の表情で獲物(わたし)をどう殺そうか舌なめずりをしている。と、突然草狼の身体が揺らいだ。慌てて狼は体制を整える。しかし様子がおかしい。まるで視界が失われたかのようにきょろきょろと辺りを見回している。


この展開を待っていた。再び刀を構え直すと、一閃の構えをとる。紅く輝く刃を無防備な草狼に向け、呆気なく戦闘は終了した。

白雨の追加効果、【盲目】はその名の通り対象の視界を一時的に奪う。初期の技である為効果時間は短いが、草狼のようなHPの低い相手には十分すぎる程だった。

「刀系武器は属性や追加効果を持つ技が多い。だが技を過信することなく、きちんと腕を磨く事が大切だ。努力は裏切らねぇからな」

こくりと頷く。もう一匹と意気込んだその時。



ウォォン、と遠くで狼の遠吠えが響く。

そして。

視界の端に赤い警告。

-緊急クエスト《Unknown》が開始されました-

-リカルゴ到達まであと167:59:27-


瞬間、師匠の表情が険しいものに変わる。

「ッ!!おい來!修行は止めだ、今すぐリカルゴの冒険者ギルドに行け!!アルダフって奴に冒険者召集令を出させろ!!早く!!!」

その言葉に、弾かれたように私は駆け出す。考える余裕は存在しなかった。振り返ると、師匠はアイテムボックスから大剣を取り出し___________。



「こいつが片付いたら、弟子は卒業ってことにしといてやるよ。アルダフに、後は任したと伝えといてくれ」

覚悟を決めたように笑っていた。

次回更新は10/2です。

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