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≪Creating Tradition≫  作者: 蒼烏
第一章
3/12

2:妖狐の術師

そこは煉瓦の町だった。

石畳の敷かれた美しい街並みの、噴水の広場に立つ。

ポーン、という音が鳴り、視界の左上に【始まりの町ーリカルゴに到着しました】という表示が出た。

どうやら私は【Creating Tradition Online】の世界に来たらしい。現実でもろくに見上げたことのない青空と、憧れるばかりだった街並みに、私は笑顔になった。


「生きてやるーー!!」


ウィンドウ画面は左手を空気を撫でるように振ると現れるようだ。ウィンドウを開き、今の能力を確認する。



來(RAI)/妖狐Lv.1

HP 100/100

MP 700/700

《職業未設定》

[職業を選択してください]


《所得スキル》

【気配察知】

【索敵】

【隠蔽】

【暗殺術】

【基本武器操作術:刀】

【高速詠唱】

【火魔法】

[火球]

【水魔法】

[水球]



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ふむ。

どうやら私の種族は《妖狐》になったらしい。タップして説明を見ると《妖怪》に分類されている事がわかった。

妖狐なのに耳と尾は生えてないのね、と思ったら設定を変えられるようだった。まあ邪魔になるといけないので生やさない方向で。

妖怪ってことは和風の職業になるのかな?早速職業を選択してみる。



《職業一覧》

【見習い巫女】

【見習い審神者】

【見習い陰陽師】

【見習い術師】

【見習い侍】

【見習い忍者】


他は読めるとして、二つ目なんだこれ。検索ページを開いて調べてみると、どうやら「さにわ」と読むらしい。巫女が神様を自分の体に降ろすのに対して、審神者は神託を受けることができるのだそう。

面白そうだけど扱いが難しそうだからパス。

巫女服は趣味に合わない。パス。

忍者は……………………………………







そんなこんなで結局【見習い術師】に決めた。西洋の魔術師同様MPや知力特化で体は弱いのだそう。

現実のスペックとVR適応力を元に初期データが作成されているらしいので、きっと私の筋力値と耐久値は酷いことになっているだろう。隠しパラメータなので確認はできないけど。


決定ボタンに触れると、ステータスに職業が表示される。



來/妖狐Lv.1

HP 100/100

MP 700/700

《見習い術師》Lv.1


《所得スキル》

【気配察知】

【索敵】

【隠蔽】

【暗殺術】

【基本武器操作術:刀】

【高速詠唱】

【火魔法】

[火球]

[火縛]

【水魔法】

[水球]

[水縛]

【式術】



増えたのは属性魔法と【式術】かな?

縛という文字から予想するにバインド系だろう。初期魔法だから強くはないんだろうけど、使い勝手は良さそう。戦闘慣れする為に使えそうだな。

【式術】が良く分からない。式、つまり式神を操るってことだろうか。


まぁ、色々試せば判るだろう。アイテムボックスを開き、初期装備を身につける。纏う衣装が衣装最初に来ていた簡素な布の服から淡黄の和服に一瞬にして変わるのに感動しつつ、アイテムを確認。初心者ライフポーション、初心者マナポーションが5つずつ、薬草が一つ。そしてプレゼントボックスが2つ。1つはプレイヤー特典、もう一つはプレイヤーNo.1を記念して、ということらしい。サービス開始の少し前に特例で始めている訳なので少し心苦しいところはあるが、貰ってしまった訳なのでありがたく頂くことにしよう。

最初にプレイヤー特典。開けると御守りが入っていた。固い塊が中に入っている。


【殺生石】

古の悪狐が負の念によって死後己を石に変えた姿。

人間が不用意に触れば石の持つ猛毒で死に至る。

妖狐が持つことでスキル【先祖返り】を使用できるようになる。


MP最大値+100



とても危ない代物だった。妖狐の私にはただの強そうなスキルが使えるアイテムだけど、普通の人間になった人がうっかり入手してしまった暁には目も当てられない惨状になるだろう。始まりの町がバイオハザードになるのは避けたい。


そのままもう1つも開けてみる。


No.1特典ということは、期待してもいいのだろうか。


【極札:存在置換】

対象の存在をアイテムに変えることができる。


 -使用可能条件を満たしていません-


これだけ?

物凄くあっけない説明。用途が思い浮かばない。おまけに譲渡不可になっている。

条件とやらを満たすまではアイテムボックスの肥やしになりそうだ。


殺生石のお守りをアクセサリ枠に装備する。

最終的に、ステータスはこうなった。






來/妖狐Lv.1

HP 100/100

MP 800/800(100)

《見習い術師》Lv.1


《所得スキル》

【気配察知】

【索敵】

【隠蔽】

【暗殺術】

【基本武器操作術:刀】

【高速詠唱】

【火魔法】

[火球]

[火縛]

【水魔法】

[水球]

[水縛]

【式術】

【先祖返り】





内容がさっぱりわからないスキルもあるけれど、それはおいおい使っていくということで。

と、ここまで確認したところで噴水の周りに人が集まっているのに気が付いた。

【Creating Tradition Online】の第一陣プレイヤー達だ。

なんとか紛れ込めたようだ。怪しまれないよう、職業選びを終えたプレイヤーが表れ始めるのを待つ。

そういえば、初期の時点では武器を貰っていない筈だ。どうやって入手するのだろう。

最初の所持金1000ユロで何とかしろ、ってこと?


私の場合買うべきは日本刀か、杖のようなもの。術師に杖が必要なのかは判らないが、素手で戦うということはないだろう。何とかしてそれらを調達しなければならない。

「あの、武器って入手しました?」

設定が終わった様子の人に声をかけてみる。大柄な茶髪の男は私をじっと見下ろすと、静かに首を横に振った。

「設定を終え、剣士になったんだが……肝心の剣が無い。武器屋で買え、ということか?」

「……おそらくは。私も術師になったのですが、武器が一切無い状態で戸惑っていたところです」

同じPCが武器屋の場所を知っている筈もないので、どうしてもNPCと会話をする必要が生じてくる。チュートリアルも兼ねて世界観を理解しておけということなのだろう。

NPCとPCの違いは名前のバーを見ればすぐにわかる。NPCのバーが水色の枠で囲まれているのに対し、プレイヤーを示す枠の色は緑だ。

一番近いNPCは、噴水の近くに居た。右目の瞼の上から右頬にかけて大きな傷のある男だ。纏う空気が他とは違う。ステータスが無くても判る。








この人、強い。


術師を選択すると固有スキル【式術】を習得する他、習得している属性魔法にバインド系が追加されます。

同種のスキルを取得している訳ではないのでスキルレベルは上がりません。

プレイ開始後に魔法スキルを習得した場合も、基本魔法にバインド系が追加されます。



ユロはこの世界のお金の単位です


8/11追記:各職業に「見習い」の文字を追加しました。

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