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≪Creating Tradition≫  作者: 蒼烏
第一章
12/12

11:入山

ブックマーク300超え、デイリー15位!皆様ありがとうございます、夢のようです……。

これからもCTOを宜しくお願いします。


今回は少し早めの投稿です。短めですがキリが良いので。

αさんのところへ近づくにつれ、派手なエフェクトが目立つようになってきた。他のメンバーが道中の敵を倒しながら向かっているせいだ。

「【連殴(ビート)】!」

「【裂蹴(れっしゅう)】」

「【水球】!!」

これは私も参加した方が良いのだろうか。手持ちの技の中で一番派手なものは……。

「【陽裂】」

刃が暗紫に変わり、切った空間がブラックホールの様な模様に変わる。そして、一瞬の閃光の後、切り裂いた空間の闇が二つに裂けた。標的となった兎が大きくよろめき、ポリゴンの破片となって散る。

「それかっけぇな!」

「ありがとうございます!」

胡椒さんの誉め言葉に笑い返す。


「集合ー!」


αさんの声がかかる前には、全員が辿り着いていた。

「おーし、それじゃあ全員申告。何レベルになった?因みに僕は7だよ」

6。5レベルの壁を突破したということか。

「俺も6だな。5がきつかったけど、EXP《経験値》バーは6以降はある程度上がりやすくなるみたいだ」

と、胡座民族さん。成程、5レベルの経験値は文字通り「壁」らしい。

「私はまだ4かな。鎚だけだと正直きつい」

技のバリエーションがあんまり無いんだよねぇ、とスミシーさんが苦笑する。

「私は5、レベルの壁辛いわ」

イオさんもまだ壁を突破できていないらしく、疲れたと首を振る。

「俺も5。暗殺術、各個撃破が基本なのとまだ連続技が使えないのがデカいな」

単発技の威力は高ェんだけどな、と胡椒さんがぼやく。

「格好良い弊害か」

「確かにエフェクトは綺麗だよねぇ」

暗殺術のエフェクトは他のものと比べ色合いは地味だが、スピードや演出は勝るとも劣らない。急所に当てることで光の刃が残像として残るのも良い。闇の中では更に映える事だろう。私はまだ修行どころか武器すら入手不可能な状態なのでレベリングは一人立ちした後になるが、早く使ってみたいと思ってしまう。

「で、來ちゃんはどうなのさ?」

「私も5です。魔法を上げていたので刀があまり鍛えられていないんですが」

「ってことは6レベ二人、5レベ三人、4レベ一人だな。生産で4って破格なんじゃないのか?」

「間違いなく生産トップには躍り出ているでしょうね。ま、レベルと腕は別物なんでそっちも頑張らないとですけど」

皆さんの足を引っ張らないよう、精一杯頑張りますのでレベルの差は多目に見てくださいね、とスミシーさんに頭を下げられ、皆でフォローする。遠距離攻撃が出来ない上隙の多い鎚だけでレベルを4まで持っていくこと自体、普通ではないのだ。生産を目指すと言っていたが戦闘センスも高いのだろう。

「さて、それじゃ攻撃力の底上げも出来た事だし、ロシュ山に向かおっか」

「了解です。ここからは私が先頭に立って歩きますね」

スミシーさんが指差す方向には、赤い土肌を剥き出しにした火山があった。

「鉱石採集を行う様な場所にはアクティブな魔物は居ませんが、今回の目的地は“奥地”です。何があるか判りませんので、皆さん気を引き締めて下さい」

「あ、付け足し良い?本陣との連絡役はメールが使える胡椒君に頼むことになる。パーティー間でメッセージのやり取りを行うことは出来るけど、出来る限り詳細な情報を送りたいから胡椒君は死守する方向で宜しく」

俺大役!と胡椒さんのテンションが上がるのを華麗なスルーでかわし、改めて、ロシュ山に向けて出発した。



* * *


ロシュとはリカルゴの西に広がる一帯を差す地名である。岩が剥き出しになった大地の中央に位置するロシュ山は、大陸有数の火山として知られており、温泉などを求めて隣国から訪れる人も少なくはない。

登山道の開始地点に辿り着いた私達は、早くも危機に直面していた。

「道が……無い?」

登山道が巨大な倒木で塞がれ、正規ルートが封じられてしまっている。

「嘘……昨日はこんなことにはなってなかった、のに」

有り得ない、とスミシーさんが呟く。

「昨日見た限り、弱っているわけでも内部が腐食しているようでもなかった。これは明らかに、誰かが倒したものよ」

切り口はまるで剣で切りつけられたように平らになっている。とはいえ、倒木は普通の剣で斬れる程細くない。

ならばこれは誰が_____________。


その時、気づいてしまった。

普通・・の剣では斬れない。だが、大剣の使い手にして二つ名持ちの猛者ならば?

「師匠……」

呟いて、確信した。巨木これを倒して道を塞いだのは、師匠だ。

「師匠?クラウドさんか」

「確かに【剣帝】ならこれが出来てもおかしくはないな」

こくりと頷く。

「でも、どうして道を塞いで態々入れないようにしたんでしょう。これじゃ破片を取りにいけないのに」

師匠の考えが全く読めなかった。この先に行きたい。あの人の背中を追いたいのに、追えない事が歯痒かった。

「道を“塞ぐ”という行為には」

不意に、αさんが話し出した。先とは異なる静かな口調に、思わず視線を向ける。

「二つの意味がある。ひとつは來ちゃんが言ったように入れないように新たな人の侵入を阻止すること。即ち“入口”を塞ぐこと。もうひとつは、“出口”を塞ぐこと。中に居る何者かを外に出させない為に此処を封鎖したのだとすれば、クラウドさんの行動も頷ける」

「中に何か居るってこと?ボスみたいな、何かが」

「あくまで僕の考えさ、確定した事実じゃない。でも、その可能性は考えておくべきだと思うよ。突然遭遇して取り乱して全滅とか笑えないからね。それよりも、今はどうやって入るかを考えないと」

「それなら」

恐る恐る、といった様子でスミシーさんが口を開く。

「私の師匠から教わった、裏ルートがあります。通ったことがないので入口までしか案内できない上、道中には魔物(モンスター)もでるそうなので危険度は上がりますが……」

「今は其処を通らざるを得ねぇ訳だろ?なら迷う必要は無い、とっとと先に進もうぜ」

判りました、とスミシーさんは少し戻るように促し、岩と岩の隙間を縫うように外れた道を進んでいく。本当にこの先に道があるのか、と思いながらも続くと、登山道の半分程、人一人が通れる程度の幅の道があった。先程よりも足場が悪く、出っ張った岩に足をとられないよう注意してあるかなければならない。この先は一対一で進んでいくことになるだろう。

αさんとスミシーさんが場所を入れ換え、αさんを先頭に一列で進んでいく。

「火山ってことは敵は恐らく炎の魔物。僕の魔法は余り相性が良くないから、きつくなってきたら交代頼むよ」

水魔法が使えるのは私とイオさん。狭所での戦闘となる為、私の刀とスミシーさんの鎚は不利だ。となると近接戦闘はαさんの細剣と胡座民族の体術、胡椒さんの暗器で対応していくことになる。

「行く前に、気休め程度だけど追加効果(バフ)つけるね……【囀り】」

単調なメロディーがイオさんによって紡がれ、HP2%上昇の追加効果(バフ)がパーティー全員に付与される。

「レベル1だからろくな技がなくてごめんなさい」

「いや、ありがたいよ。それじゃあ行こっか」

αさんに続き、ロシュ山の裏ルートを登っていく。

入口付近にはまだ、魔物の姿は見えなかった。

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