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この輝けない日々 弥勒の決死圏シリーズ#02  作者: 柿ノ木コジロー
第2章 こちら新米リーダー・サンライズ
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 間もなく、春日はようやくの誘いに乗って飲み会に姿をみせた。

 すでに十二月の半ばになっていた。

 忘年会という名目で、ローズマリー、ゾディアック、春日(その頃にはサンライズもためらいなくハルさん、と呼んでいたが)、そしてサンライズの四人がモモちゃんに集結する。

 気のおけない仲間どうし、やっぱりとりあえずは生ビール。そして速攻セット。

「じゃあ、乾杯ね、ひとり一言ずつ」

 ローズマリーは、いつものようにすでに上機嫌だ。

「久々のカメ、いやハルさん登場を祝して」

 はい次ゾーさん一言、と振られたゾディアック、

「ピロポを最初に開拓した彼を祝して」(ハルさんが少し気まずい笑みをサンライズに向けた)

 そしてサンライズに回ってきたので

「ええと……この三人と飲み会に来ている不運を祝い」いやそれは呪いだ、とローズマリーが茶々を入れる。

 そして春日ことハルさんが高々と宣言した。

「このしょぼい連中の全然輝けない日々を祝して、かんぱーい」

 がきっと、四つのジョッキが宙でぶつかる。


 ウーロン茶しか飲めねえ、と言っていた春日はジョッキ生で乾杯したあといきなり店員に

「ここ、ジンないの?」

 と訊ねた。

「ウォッカでもいいや、ビンで持ってきてよ、あとレモンと塩」

「信じらんねえ」ローズマリーもあきれている。

「サンちゃん、見てよコイツさ、ザルどころじゃあねえ。底のないオケなんだよ」

「おけ!」

 OKサインで応えつつ、彼はやってきたウォッカのビンを抱え込んだ。

「冷えちょる冷えちょる、サンちゃん、飲み比べやるぞノミクラベ」

 酔ったおかげか、すでにサンライズのことをサンちゃんと呼んでいる。

「やめろサンちゃん、ソイツと心中するぞ」

 ゾディアックが慌てて春日からビンを取り上げる。「お客さ~ん、おひとり様一杯まででお願いしますよ~」


 結局、どれだけ飲んだか分からなくなった。

 春日は、前評判通りのウワバミだった。


 二次会にカラオケに行って、その後ローズマリーの行きつけのバーに行ったらしいがどんな場所のどんな店だったか、サンライズにはほとんど覚えがない。ラーメン博物館の前を三回程通ったところまでは、記憶に残っていた。それとも博物館が三つに分かれたのかも知れなかったが。

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