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彼の写真を撮る

作者: WAIai
掲載日:2026/07/07

「こっち向いて」


私は彼に言うと、シャッターを押す。


パシャリと音がし、彼が眉根を寄せる。


「何それ?」


彼が指差してくるので私はカメラを彼の前に出し、嬉しそうに答える。


「これね、使い捨てカメラっていうの。新しいものが出たから買ってみた」

「使い捨てカメラ? 何だ、それ?」


彼が腕を組み、難しい顔をする。

どうやら理解できないらしい。


私はカメラを近づけると、またパシャリと撮る。

まるで動物園にいるライオンみたいに、彼は静かに怒っているようだった。


私はまずいと思い、追加で説明する。


「あのね、充電とか気にしなくていいし、白黒加工にできるの。便利なカメラなんだよ」

「…へえ。珍しいものなんだな」

「親に聞くといいかもしれない」

「そうか。…で? 俺を撮ってどうするんだ?」

「どうって、その、好きな人を撮っておきたいものなのよ。お守りにもなるし」

「そういうものか?」

「そういうものだと思って」


もう1枚、パシャリと撮ると、私はカメラをおろす。


「現像できたら、欲しい?」

「くれるのか? お金は?」

「いいわよ。そんなに高いものじゃないし」


時計をちらりと見れば、あと1、2分しかなかった。


私は彼から離れたくなくて、ぎりぎりまで粘る。

まるで親に懐く小鳥みたいだと自覚があるが、それだけ彼は特別な存在だった。


私の守り神様だもの。


ドキドキしていると、彼が手を差し出してくる。


「ちょっと待った。カメラ、俺に貸してくれる?」

「え? どうするの?」

「俺も1枚、撮ってみたくなった。貸してくれる?」

「いいけど」


私は躊躇なく、カメラを彼に貸す。


「ここを押せば撮れるから」

「おう」


彼は答えると、カメラをくるくると回し、全体を眺める。興味あるらしく、まるで肉を手にしたライオンみたいだなと、ふふと笑う。


「あ! そのまま。動くなよ」


そう言うと、彼はパシャリと撮った。

いきなりのことに、私はびっくりする。


「モデル、私で良かったの?」

「いいの。それより…あ、先生が来た」

「まずい。私、席に戻るね」


カメラを受け取ると、自分の席に戻る。

急いでカバンにカメラをしまうと、先生が教壇に立つ。


次は社会の授業で、私的には嫌いではないのだが、数学みたいに答えがすぐに出るほうが得意だった。


「起立!!」


当番が言うので、私は席から立ち上がる。

先生は大人しいタイプの人で、馬みたいな感じだった。


さて、授業を頑張りますか。


席に座ると、私はシャーペンを持ったのだった。

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