19 多発
2ヶ所同時でグレターデーモンに操られたオークが出現した。上位デーモンに救援を要請した。上位デーモンは心良く応じてくれた。
19 多発
危惧していた事態が起こった。マリエールは迷わず上位デーモンを召喚した。2カ所同時に発生したオークの街への進撃の1か所の討伐を上位デーモンに頼んだ。上位デーモンは心良く引き受けてくれた。
今回の街はいずれも前回の街よりも大きな街だ。情報によるといずれも前回よりもオークの数が多いらしい。マリエール達が出掛けると200頭のオークがいる。冒険者も住民もいない。魔獣殲滅の魔法の使い時だ。詠唱を唱えた。
「全ての物作りたまいし神々に祈ります。火と水と土と風と闇の魔法を付与した魔獣殲滅の魔法を放ちたまえ、ホーリーライト。」
オークは全て殲滅された。残るは200個の魔石だけだ。全て回収した。上位デーモンの向かった街に行くと何もなかった。上位デーモンは、
「早かったわね。殲滅の魔法で仕留めたのね。こちらはアイスクルランスを多弾で放ったけど無駄撃ちが多くって時間が掛ったの。殲滅魔法みたいな物があればいいのだけどね。しかし、魔獣殲滅魔法って自分も殲滅する魔法だから使えないのよね。」
魔獣殲滅の魔法はグレターデーモンも殲滅する魔法だから、自分に協力してくれる上位デーモンも殲滅する魔法だ。マリエールは、
「もしも、魔獣殲滅の魔法を人間に掛けたら人間も殲滅してしまうのでしょうか。前回、グレターデーモンに支配された盗賊達に魔獣殲滅の魔法を掛けたら殲滅したので盗賊達が魔獣にされたのだろうと思いましたが、もしかしたら支配されただけで人間のままなら魔獣殲滅の魔法は人間も殲滅する魔法かも知れないと思ってしまいましたのでお聞きしました。」
上位デーモンは、
「魔獣殲滅の魔法は魔獣にしか効果ない魔法だけど、所謂魔獣のような心を持った邪悪な精神持った人間にどう働くかは微妙な所なのよね。逆に良い魔獣の場合も殲滅されるのかどうか判らないわ。厳密には魔獣かどうかではなく神が魔獣だと判断した物を殲滅する魔法だと言っていいかも知れないわ。その盗賊達はグレターデーモンに魔獣にされたのかも知れないし人間だけど神が魔獣だと認識したのかも知れないわ。どちらにしても邪悪な心を持っていたのは間違いないわ。」
マリエールの心はすっきり晴れない。もしかしたら人間を殲滅したのかも知れない。救いなのは邪悪な心を持つ者だけを殲滅する事だ。
2ヶ所同時の心を支配されたオークの出現はかくして解決した。良い機会だから上位デーモンは子どもに会っていく事になった。上位デーモンの子どもは10歳くらいだろうか。愛らしい美少女だ。気性もとても素直で優しい。人質のような境遇なのに何時も微笑み愛想がいい。そんな子でも母親の前では涙を流す。堰き止められたダムが決壊するように。声も出さずひたすら母親の胸にすがる。上位デーモンは、
「寂しかったのね。いい子でいたかしら。いとおしい我が子よ。笑顔を見せてくれ。その笑顔で私も頑張れるから。」
少女は涙を浮かべながら必死で笑顔を作る。マリエールの涙腺が切れる。
魔獣殲滅の魔法は、魔獣かどうかではなく神が魔獣と認識した物を殲滅する魔法だそうだ。マリエールが殲滅した盗賊達は魔獣されたどうかは判らない。




