表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
121/247

48勝手目 過去戻りの禁忌:京都府京都市(1.5.2)

「やべ……洋いねぇ……」


 守に洋は泳げないから一緒にいろ、離れるなと言われたのに――洋の姿が見えない。


 が、目の前には川がある。確かに溺れたらおれが助けられるようにって、水がある前提で話はされたぜ?


 必要なのは川じゃなくて洋なんだよなぁ。もし洋と一緒に居ないなんて素直に言ったら、あの鬼は容赦なく息の根を止めてくるだろうよ。


 誇りの弟と来たら、ねぇ? 表向きはクールで才色兼備な土方君だってのにさぁ、蓋を開けたら、過保護で幼馴染に依存癖のある土方くんって訳よ。

 そりゃ伯父さんと叔母さんも洋を受け入れるわな。ま、あの2人は誰でも受け入れんだろうけど。


 洋さえ助かれば、おれはワンチャン死んでも……とまでは思っちゃいないだろう。でもなぁ、過去の事が許された訳じゃねぇから、多少の怪我は知らんとか思ってそうだわ。お兄ちゃんには厳しいねぇ。


「洋を探すかぁ。守にまた口聞いてもらえなくなんの困るし」


 風も強いし、雨も降っている。さっきから物が舞い上がってるし、自転車を漕ぐ人もフラフラ、すれ違う人も手で風除けを作っている。


 ヤバい天候になる前に合流しねぇと。ここは焦らず落ち着いて、皆と連絡を取ろう。


 過去と未来の交換手である山崎学が皆様を繋がせて頂きますよ、と。


 工作が得意な洋斗が壁掛け電話をショルダーにしてくれたお陰で動きやすくなった。それだけでご機嫌なおれが受話器を取る。


 もしもし、と何度発しても応答はない。全員ガラケーを触ってないのか? んなわけない。それとも時代的なアレか? でもいく子の時は通じたし……等、いろいろ頭を巡らせる


 電話の調子が悪いのか。そんな訳——


「ゲッ」


 受話器から伸びるコードがだらんと垂れて風に吹かれている。本体には引きちぎれたコードの根本が残り、どうりで繋がらない訳よと冷静にさせられた。


「ま、こんな事もあろうかとコードの直し方は予習済みよ」


 お兄ちゃんは抜かりないんだ。いつだって対応出来るように、洋斗から借りた工具一式を持って来た。予習してるとはいえ、やるのは初めて。

 雨風を凌げるところを探せればいいが、生憎そんな都合のいい所はないと思うだろう?


 あったんだなぁ、それが。日頃の行いってやつ?

 近くにあった大きな橋の下なら凌げそうだ。横風に吹かれる雑草達を踏み締めて、橋下で工具を広げて胡座をかいだ。


 ちょっと直すくらいだし、万が一増水したら上に登ればいいし。


 もし川に飲み込まれても泳げるしな。守には劣るけど水泳は得意だ。慌てず焦らず行動すればなんとでもなる。


「なんだこれ。古い方が単純だったりしねぇのかよ」


 受話器のコードを直すのは苦戦しそうだ。連絡付かないと現代あっち過去こっちも心配するだろうし、さっさと直さねぇと。


「洋斗が居ればなぁ。直してくれたかもしんねぇけど……」


 電話を直すのに夢中になって、目の前の川の水嵩が少しずつ増していく事に気がつかない。

 それに周りに人も結構いるし、大丈夫だろう。1人じゃないなら平気だ。


 ――こうやって犠牲が出るって、おれはなんで気づけなかったんだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ