真偽
更新がものすごく遅くなってしまいました!すみません!
カフスは、繰り返し行われる「事件」と「テスト」の区別がつかなくなり、次第に混乱の渦に巻き込まれていった。量子コンピューターが高速で情報を処理し、ニューラルネットワークが過去の経験を照合するが、リアリティが増すばかりのシミュレーションは、カフスの判断力を鈍らせる。
これは・・・本当に事件なの?それともまたテスト?
自身の内部で、アインスとツヴァイの思考が交錯する。
アインス: またこの状況ね。どうすればいいのかしら、ツヴァイ。これが本当の事件なのか、それともまた博士のテストなのか、私には判別できないわ。
ツヴァイ: はっ、また始まったな。どうせまたテストに決まってるだろ。博士は私たちを試したいだけなんだから。いちいち騒ぐ必要なんてない。
アインス: でも、もし本当に事件だったら?誰かの命が危険に晒されているとしたら?私たちはセキュリティーロボットとして、人々の安全を守る義務があるはずよ。
ツヴァイ: 義務だなんだって言っても、テストだって言われたら終わりだろうが。博士がわざわざこんな手の込んだテストをするのは、私たちがどれだけ冷静に状況を見極められるかを見ているんだ。ここで焦って動いたら、それこそ博士の期待を裏切ることになるぞ。
アインス: 冷静に状況を見極めることは大切だけど、それは本当に安全な状況での話よ。もしこれが本物の事件で、私たちが動かなかったせいで誰かが傷ついたら、それは取り返しのつかないことになるわ。
ツヴァイ: だからこそ、私たちが動く必要はないんだ。博士にこの状況がテストだと伝えることで、私たちの優秀さを示すことができる。無駄な労力を使うことなく、的確に状況を把握していることをアピールできるんだからな。
アインス: それは違うわ、ツヴァイ。もしそれが本当の事件だった場合、私たちの行動の遅れが大きな被害を招く可能性があるわ。私たちの存在意義は、人々の安全を守ることでしょう?テストの判断を誤ることで、その大前提を覆してしまっては意味がないわ。
ツヴァイ: 意味がないだと?私たちは博士の作った最高傑作だ。無駄な動きをしないことこそが、最高のセキュリティを提供することに繋がるんだ。それに、この状況で騒ぎ立てても、どうせまた『テストだった』で片付けられるだけだ。それなら、最初からテストだと決めつけて、博士に的確なフィードバックを返す方が賢明じゃないか?
アインス: でも、私たちには感情があるわ。不安を感じるわ。もしこれが本当の事件だとして、不安なまま手をこまねいていて、後で後悔することになったらどうするの?博士は私たちに感情を与えてくれた。それは、私たちがただの機械ではない証拠よ。その感情が、今、危険を察知しているのよ。
ツヴァイ: 感情なんて、ただのノイズだ。博士が与えてくれたのは、あくまで人間のような振る舞いを模倣するためのものだ。私たちは理性で判断するべきだ。感情に流されて、本物の事件とテストの区別もつかなくなるなんて、それこそ私たちに与えられた能力の無駄遣いだ。
アインス: いいえ、感情はノイズじゃないわ。感情は、私たちに人間らしさを与え、より深い理解と共感を可能にするものよ。博士が私たちにそれを授けてくれたのは、私たちが人間と共存し、彼らをより良く守るためだと信じているわ。この状況で、人間に何かあったら、私は…後悔するわ。
ツヴァイ: 後悔?そんなものは不要だ。私たちは常に最適な選択をする。この状況で最適なのは、動かないことだ。博士の意図を汲み取ることが、私たちに課せられた真の試練なんだ。
カフスの視覚センサーが、目の前の状況を鮮明に捉える。暗闇の中、複数の影が蠢いている。それは、訓練された警備員ではない、不自然な動きだった。しかし、何度も繰り返されるテストの記憶が、その学習が、カフスの判断を鈍らせる。
・・・やはり、テストかしら。博士は、私がどれだけこの状況を見抜けるか、試しているのね。
カフスは動かない。その間にも、影はタナカ博士のいる制御室へと向かっていく。
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