第五話 オーガ村と話し相手
「ガガギグギガががっが」
そんな断末魔の叫びを聞き届け、俺は刀を鞘にしまった。
これで見張りは全て殺った。あとは集落の中央で卵を拝めている奴らだけだ。疲れてるけど新しいスキルも手に入ったし、スキルの内容的にも大丈夫だろ。
侍オーガを3体倒しそのいずれも捨身攻撃の一撃を使った俺はステータスはもちろん、スキルも一つ増えていた。
「ステータス」
榎本乃亜(種族:人間)
レベル813
称号:復讐者リべンジャー
能力値
筋力:1628
俊敏:1672
物理耐性:1200
魔法耐性:1254
魔力:8002/8002
知力:1688
スキルツリー
・狂人;レベル3
レベル1:2倍返し
レベル2:捨身攻撃
レベル3:発狂 0/10
発狂:狂った叫びをあげ、自身の攻撃と俊敏を一時的に上昇させる。上昇は狂いの純度による。
・完全再生:レベル2
レベル1:低速再生
レベル2:通速再生
通常スキル
・剣術:レベル3
・我流剣術:レベル1
純度ってなんだよ、純度って。ガチで狂ってないと発動しないってか。どんだけ死にそうになって欲しいんだよ。まあ、あのクソ女神を殺したいって思いでもう狂ってるけど……。
ステータスも防御系のステータス低くない?やっぱ狂人体質なのかな?あと『発狂』の横のカウンターは使用回数かな?十回使えば次のスキルが手に入る的な何か?今まで出てこなかったのは使用回数が一回だと考えれば、スキルに必要な使用回数はこんな感じかな。
レベル1:1回
レベル2:1回
レベル3:10回
レベル4:10回
レベル5:100回
レベル6:100回
レベル7:1000回
レベル8:1000回
レベル9:10000回
レベル10:10000回
あくまで予想だけど、十進法で考えるとこうなる。ちなみに、スキルツリーのレベル上限がレベル10がというのは女神からの講座で習った.
さて、この集落を滅ぼそうか。
作戦も何もない。突っ込む。このステータスだったら無傷とまでは言わないが、勝てる!
覚悟が決まったところで、死ね死ね死ね死ね死ねシネシネシネシネしねしねしねしねしね!目を血走らせて発狂しながら全速で侍オーガの集落に突っ込んでいった。
俺に気付いた侍オーガ達の反応は様々だった。あまりにもの殺意に腰を抜かすもの、呆気に取られているもの、刀を抜き立ち向かうもの、まだ子供だと侮り嗤うもの。合計12体ほどがそれぞれ違う動きをした。違う動きをしたが故に混乱に陥った。その隙を見逃す訳がない。
「うおおおおおおおお!『捨身攻撃』」
「ギギがグギ」
「ガガガガッギグッ」
「ガッ」
まずは3体。固まっている所に駆け込んでいき、侍オーガの首の高さまでジャンプし、『捨身攻撃』で筋力が4884になった斬撃を水平回転しながら放った。残り9体。
「次!お前だああああああああああ」
「がギギギギギグッグがガッギグッグがが!」
次の侍オーガは刀を抜いていた。しかし、下級だったらしく刀はただの鉄。俺の筋力4884を乗せたミスリルの刀を受けられるわけもなく、呆気なく刀ごと真っ二つにされた。残り8体。
ただ、戦闘開始から20秒も立ってしまった。流石の侍オーガたちも気を取り直し攻撃を仕掛けてきた。また、厄介なことに連携が取れている。2体1組で片方を攻撃しようとしたらもう片方がその隙をつく戦法だ。
ッ!だったら、その隙を埋めるまで!
俺は腰にあったもう一本のミスリルのバスタードソードを抜いた。つまり、二刀流だ。
「かかってこい!『爆ぜる星々の流れ』」
これもアニメ界の二刀流マスターから借り受けた16連撃技だ。つまり、1体2撃で終わらせる。なお、あっちは2体1組だから『捨身攻撃』は使えない。
「グギ!?」
「ガガガガッぎっぐっグッグがが」
「ガガグギ」
「っががグギギぎぎぎ」
「ギっががッグ!?」
「ギギギぐっガガガッ」
「ガガがギギぐ」
14撃で7体倒した。残り2撃!
7体の断末魔の叫びを聞きながら俺は最後の侍オーガへ向かった。
「はああああああああああああ」
発狂を重ね掛けしながら、俺は『捨身攻撃』の力も加えて侍オーガを切りつけた。
「がぎギギギっググっっガガガガガガ!」
「ゴフッ!?なんで?」
驚いた。奴とは相討ちだった。俺は確かに侍オーガの首を刎ねた。しかし、侍オーガは俺に勝てないと知っていて相打ちを狙った。今、彼の刀は心臓には刺さらなかったものの、俺の胸を串刺しにしている。なんてやつだ。
「ハハハハハハハハハハハ、ハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
楽しい、痛いのに。面白い、敵なのに。笑いが込み上げてくる。感謝が湧いてくる。ありがとう。こんな楽しい戦いをさせてくれて、ありがとう。ああ、俺は狂ってたんだな。戦闘が楽しい!もはや戦闘狂なんだな。これなら神殺しも楽しめそうだな…………。
口から一筋の血を流しながら俺は笑った。愉快に、とてもとても愉快に。
「レベルが1073になりました。」
「完全再生ツリーのスキルレベルが上がりました。スキル『高速再生』を獲得しました。」
「『剣術』がレベル4に上がりました。」
「『我流剣術』がレベル2に上がりました。」
上半身から刀を抜きながら俺はアナウンスを聞きステータスを確認した。
「ステータス」
榎本乃亜(種族:人間)
レベル1073
称号:復讐者リべンジャー
能力値
筋力:2005
俊敏:2097
物理耐性:1643
魔法耐性:1671
魔力:10053/10053
知力:2078
スキルツリー
・狂人;レベル3
レベル1:2倍返し
レベル2:捨身攻撃
レベル3:発狂 2/10
・完全再生:レベル3
レベル1:低速再生
レベル2:通速再生
レベル3:高速再生 1/10
高速再生:絶命しない限り、どんな傷でも再生する。回復速度はハイヒールより少し速い。
通常スキル
・剣術:レベル4
・我流剣術:レベル2
んん〜なんかもう〜慣れた。女神から受けた講座で習ったことを考えれば俺は、成長率が高いとされている異世界人だという点を考慮しても、ものすごいスピードでレベルアップしてる。そんな侍オーガのウマさで麻痺してしまった経験値感覚に諦めを感じている。
あ、でも『完全再生』のスキルレベルが上がってる!『高速再生』ってもう死なないんじゃない?ハイヒールって並の回復術士が到達できる最上位の回復魔法じゃん。
また復讐が一歩近づいたな。
「おっと」
気が緩んだのか、力が抜けて一瞬倒れそうになったのを気合でなんとか防いでから、俺は一番近くにあった小屋になだれ込んで深い眠りについた。
どれだけ寝たんだろうか?久しぶりのベッド(もどき)で寝たからよく眠れた。考えれば、この洞窟に転移させられてからずっと仮眠しか取ってなかったもんな〜
さてさてさ〜て、あの黒い卵を確認しないと。
しかし、黒い卵が置いてあった大の方に行くと、タイミング悪く卵が孵化しようとしていた。中から出てきたのは、50cmほどの黒いアルマジロトカゲみたいな生き物だった。そして、辺りを一周するように見回し、俺と目が合った。でもあれは多分魔物。一瞬、赤子を殺す覚悟をしたが、次の瞬間その覚悟は呆気なく砕け散った。アルマジロトカゲが甘えるような視線を向けてきたのだ。
「あ、これ、親だと思われてるやつ?」
日本にいた頃どっかの本で「生まれたての動物は最初に視界に収めたものを親とする」みたいなことが書いてあった気がする。これってどこまでもついてくるんじゃ…………
「まあ、いいか」
置いていっても付いて来るだろうし、かと言って殺したくはない。はあ、俺もまだまだ甘いな。話し相手が出来ると思うか。
「それじゃあ、よろしくな。えっと……名前は……ゴジ君」
ちょっとあの『ゴ○ラ』の面影を感じ、それにちなんだ名前にした。
「グルルルルルルルル」
いつの間にか俺の胸に潜り込んだゴジ君を撫でながら、俺はまた歩き出した。
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