第四話 初戦闘
「狂人ツリーのスキルレベルが上がりました。スキル:『捨身攻撃』を獲得しました。」
「完全再生ツリーのスキルレベルが上がりました。スキル『通速再生』を獲得しました。」
「レベルが298になりました。」
そんな機械的な声で俺は目を覚ました。俺、何してたんだっけ。えーと、ここに転移させられて、剣拾って、あーそうだ、オーガ倒したんだったわ。
そこまで考えると、腹に受けた拳を思い出した。意識してしまったから、急に腹が痛くなる。
「い、いてててて」
さっき獲得した『通速再生』のおかげなのか、ほとんどの骨が繋がって少し動けるようになった。なんとか起き上がり、オーガを確認した。
「入り口の前で倒れてくれたから何も入ってきてないみたいだ。にしても体が消えて魔石とかアイテムだけが残る訳じゃないのか〜」
まあ、ゲームでもないし。ただ解剖とかやったことないから、魔石を取り出すのは……うん!がんばろう!
「ステータス」
さっきスキルレベルとかレベルとかが上がったって言ってたから確認、確認。
榎本乃亜(種族:人間)
レベル298
称号:復讐者
能力値
筋力:632
俊敏:656
物理耐性:532
魔法耐性:576
魔力:3440/3440
知力:662
スキルツリー
・狂人;レベル2
レベル1:2倍返し
レベル2:捨身攻撃
捨身攻撃:攻撃する間は防御ステータスがゼロになる代わり、攻撃力が300%になる。
・完全再生:レベル1
レベル1:低速再生
レベル2:通速再生
通速再生:絶命しない限りどんな怪我でも再生する。再生速度はヒールとハイヒールの中間ぐらい。
ははは……あの侍オーガそんなに強かったの?倒したら、レベルとステータスがふざけてんだけど。
あと、新しいスキルが手に入ったけど、これ結構強くね?いや、どっちか単体だったらハズレスキルだと見られてたかもしれないけど、めっちゃ相性いいじゃん。捨身攻撃を使えば俺の筋力は1896だ。ふざけている。
ただ、そこそこの俊敏がないと攻撃ができる前にこっちが防御力ゼロの状態で攻撃を喰らって死んでしまう。でも俺は攻撃を受けても死にさえしなければ、完全再生ですぐに再生する。スキルツリーが二つあるからできることだ。単品だとハズレだけど、このスキル相性良くない?
「ぐうううううう〜」
あ〜腹減った。ただ、ここで食えるもんつったらあのオーガしかいないもんなあ〜。気は進まないけど、せめて火でも通すか。
俺は死体あさりをして、解体用のナイフと炎と水を出す魔道具をそれぞれ一つ見つけた。魔道具というのは日本でいう電化製品だ。ただ、コンセントとかバッテリーとかの代わりに、魔石や魔力を流しているらしい。
俺は炎を出す魔道具でちょっとしたキャンプファイヤーを作って、解体ナイフで切り取ったオーガの塊を焼いていた。水魔道具で少し水を飲んで落ち着いたから、今後について考えることにした。
今俺が持ってる、役に立ちそうなもの。
・ミスリルの剣
・侍オーガの刀(同じくミスリル製)
・黒いレザーガントレット(左手用)
・炎を出す魔道具
・水を出す魔道具
・学校の制服(防御効果は無い)
・学校のカバン
・アイテムバッグ(魔力を注ぐと無限の容量がある亜空間につながる。ミスリルの剣をと一緒にあった)
まあ、こんなとこかな。せっかく日本刀が手に入ったし、質はバスタードソードと変わらないからそっちを使おう。あ、二刀流もいいかも!よし!ステータスも伸びたし、剣もちゃんと扱えるようになったから剣術頑張るぞー!でも、俺こんなに楽しんでていいのかな?いや、いいんだ。女神を殺すという復讐心さえなくさなければいい。
ここに俺を送った女神を許さない。そして俺は必ずアリスとの約束を守る。殺さなければ殺される。上等じゃねえか。俺の邪魔になるやつは滅ぼす。
今の俺の武器は自分のスキルだ。この狂人スキルでこの洞窟から出てやる。そして『ハズレスキルツリー』で殺される女神の顔をしっかりと目に焼き付けてやる。
気合が入ったところで俺はオーガの肉を食べ、洞窟を進むことにした。
「にしてもうまかったなあ〜」
そうなんだ。オーガは意外とうまかったのだ。実は魔物全般うまかったりするのかもしれない。食べ比べしなくては。
そんなことを考えていると、チグハグな雄叫びと一緒に角を曲がってきた侍オーガに出くわした。
「ガガガイギっっギギギイギギガククがククががが」
「おっ!初戦闘いくぞ!」
一番最初に倒した侍オーガは戦闘に数えない。あれはどちらかというと「蹂躙されていたところに幸運にも奴を倒せた」ってところだ。だからこれが初戦闘である。俺のステータスがあればアイツ側をせるはずだ。
早速俺は日本にいた頃に見たアニメに出てきた技を試してみることにした。ただ技名はオリジナリティを持つために少しアレンジしてる。
「水斬 壱の太刀 水平斬り」
挑発に乗らない俺に怒ったのか侍オーガはぎこちない動きで刀を抜き、突撃してきた。そこで『水平斬り』で迎え撃ったのだ。『水平斬り』は日本で流行ってた鬼と戦うアニメで主人公が使う技の一番基本だ。水面のように水平に切る技である。これで斬りかかろうと刀を振り上げた侍オーガの腹に、タイミングよく致命傷を喰らわせることに成功した。
「ふううう〜。もう侍オーガぐらいだったら問題ないな」
新しいスキルを使う場面はなかったけど、なんかカッコよく倒せたし、いいんじゃない♪
「レベルが432に上がりました。」
「通常スキル『剣術』を獲得しました。」
「『剣術』がレベル2に上がりました。」
「通常スキル『我流剣術』を獲得しました。」
おっ!剣術スキルを獲得できた!それと我流剣術?も獲得できたらしい。早速チェックしよ。
「ステータス」
榎本乃亜(種族:人間)
レベル432
称号:復讐者
能力値
筋力:862
俊敏:846
物理耐性:654
魔法耐性:673
魔力:4568/4568
知力:842
スキルツリー
・狂人;レベル2
レベル1:2倍返し
レベル2:捨身攻撃
・完全再生:レベル1
レベル1:低速再生
レベル2:通速再生
通常スキル
・剣術:レベル2
剣が扱いやすくなり、動きに無駄がなくなる。
・我流剣術:レベル1
いや〜侍オーガパイセン経験値ウメー。そしてスキル剣術をゲットできた。これがあれば少しは剣が扱いやすくなるはずだ。ただ、我流剣術ってどんな効果があるっだろう。説明もないしよく分からない。でも、アニメからパックてきた剣術は我流認識なんだ〜。
ステータスを確認した俺はまた歩き出した。そのあと何回か侍オーガに会ったけど、全員『水平斬り』で討伐できた。
少しすると、疲れてきたので休むところを探していたらたくさんの気配が集まっているところに気付いた。
「なんなんだろう?」
気配が集まってる所に行くと、そこは大きな空洞になっていて、雑な小屋がたくさん建っていた。そして中央広場みたいな所に侍オーガが集まって何かを拝めていた。
「へえ〜侍オーガの村か。でも、何拝めてんだろ?」
そこでもっと近づいて物陰から観察してたら侍オーガが立ったタイミングで黒い卵?らしきものを拝めていたことが分かった。
う〜ん……疲れてるけど、こんぐらいの数は何とか倒せると思う。あと、卵がなんなのかも気になるし……よし!オーガ村を殲滅して今日はここで休もう!卵の中身は……明日でいいかな。
そう思い、俺はオーガの村を殲滅する準備を始めた。
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