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第二話 クソ女神



「なっ」

「おいっ!」

「ま、眩しい」

 

 女神やクラスメイトたちだけでなく、壁に沿って並んでいた騎士や魔導士たちまでもが驚いていた。これは俺の水晶検査の結果なのだが、水晶に手を置いたら何故か、ものすごい量の光が出てきたんだ。へぇ〜結構な魔力量だな。アリス以下、光太郎以上ってとこかな。


 あれ?固有スキルツリーを聞こうとして、女神の方を見たら何故か放心していた。


「あのーどうかしましたか?」

「へ?あ、そうでしたね。能力値は平均150と凄いんですが、それより、スキルツリーが二つです!これほどの才能は初めて見ました!おめでとうございます!」


 この言葉には、この場の全員が騒ついた。スキルツリー二つかあ〜。これで魔王と戦うのか。どんなスキルツリーなのかな〜。


「スキルツリーはどうでしたか?」

「スキルツリーは……あ」

「はい?」

「チッ」

「え?」

 

 なになに何で?女神にスキルツリー聞いたら何故か舌打ちされて、ゴミを見る目で見られたんだけど。水晶に触れたからステータスが自分でも見られるはずだ。確認しよう。ステータスと唱えると目の前に半透明の板が現れた。他の人の視線から察するに、見えていないんだろう。その板にはこんな文字が浮かび上がっていた。


 榎本乃亜(種族:人間)

 レベル1

 能力値

 筋力:153

 俊敏:160

 物理耐性:127

 魔法耐性:125

 魔力:520/520

 知力:151


 スキルツリー

 ・狂人;レベル1

  レベル1:2倍返し

  2倍返し:自身の受けたダメージを与えた相手に200%にして返す。


 ・完全再生:レベル1

  レベル1:低速再生

  低速再生:絶命しない限り、どんな傷でも再生する。再生速度はローヒールより遅い。


 

 このスキルのどこが舌打ちされるんだよ。確かに少ししょぼいかも知れないけど、これってまだレベル1だろ?『狂人』も『完全再生』もどっちも名前からして強そうじゃん。


「あの、なんでこのスキルは舌打ちされるんですか?どっちも強そうなスキルですが?」

「はぁ、これだから馬鹿な人間は」

「え?」


 小声だったけど、さらっとすごいこと言ったな。


「いえ、何でもありません。スキルについてよく知らないのならしょうがありません。私が説明します」

「はぁ」

「まずは『狂人』ですね。このスキル火力はピカイチですが。そのスキルはどれも痛みや血、何か大きな代償が必要です。それに、このスキルを持ってると人が狂う傾向にあると言われています」


 なんか舌打ちされる理由がわかったよ。でも『完全再生』は何が悪いんだろう?


「続いて『完全再生』は特にデメリットはありません」

「なら!」

「しかし、それといったメリットもないんです。この世界の力はスキルツリーから来ます。そのスキルツリーの効果が自分を癒すだけ。いわば死ににくくなるだけなんです。そんなスキルなので、"『完全再生』は大成しない"と言われています」

「はぁ」


 ため息が出る。せっかく異世界転移したのにハズレスキルツリーだったなんて。あ!でもこっから追放系が始まるパターンもあるのか?


 そんなこんな考えてると女神は話を続けた。


「これから勇者の皆様には引き続き説明を受けてもらいます。こちらへどうぞ」


 落ち込んだまま女神の指示に従おうとしたらまた、俺だけ声をかけられた。


「あ、ノアさんには他の勇者様と別行動をとってもらいます」

「え?」

 

 何で?やっぱスキルの関係?


「あなたにはツリーが二つと素晴らしい才能がありますが、そのツリー自体が弱いもので、この世界ではハズレスキルだと知られているものです。そんなハズレスキルでは他の皆様の足手まといになるかもしれませんので、一緒に訓練はできません。しかし、ここは神聖イスタリア王国です。神の慈悲のもとでノアさんには、1つのチャンスを与えます。ノアさんにはこれから、レイナ洞窟の深部に転移してもらいます。そこから地上に出られたらノアさんは晴れて自由の身です!レイナ洞窟には魔物という怪物もいて結構な強さで危険ですが、ノアさんならレイル洞窟の初踏破、できると思います!」


 にこやか笑顔で言うセリフじゃねぇよ!

俺はすぐに悟った「これは茶番だ」と。何が神の慈悲だ!こんなの処刑だろ!なんでだよ!俺は来たくてきたわけじゃねえ。なのに勝手に殺されることになってる。ふざけんな!初踏破ってことは今までも何人か送られて、1人も踏破できてないってことだろ!そんなのに転移したばかりのハズレスキル持ちを送り込んだら死ぬに決まってるだろ!


「やめてください、!こんなの処刑じゃないですか!?」

「困りましたね〜アリスさん。あなたもしかして、少しバカなんですか?これはチャn」

「黙れクソが!」


 俺は全力の殺気を込めた声で女神言った。俺を見下ろしても、軽蔑しても構わない。だがアリスをばかにするクソどもは許さない。それから振り返って優しい声でアリスに言った。


「Don`t worry Alice I`ll be ok. I can`t change the fact that I`ll not be there for yo for a while. But I`ll survive and make it back to you. I promise.(安心してアリス。俺は大丈夫だ。少し離れ離れになることは変えられない。でも俺は生き延びて、戻ってくる。約束だ)」

「But……(でも……)」

「I`ll be fine. I haven`t broken one of our porminses yet. Right?(俺は大丈夫だ。今まで約束を破ったことはなかっただろう)」

「…………」

「大丈夫、俺がなんとかするって言ったろ」

「……うん」


 俺は精一杯、不安や恐怖を抑えた安心させる口調で言った。さて、なんとか落ち着いてくれたか。ここで反抗してもアリスの立場が悪くなるだけだ。俺が帰ってくるまではじっとしててほしい。俺がいない間は、そうだな。


「…………和樹、任せた」

「あぁ、任された」

「さてさて、そろそろ別れもすみましたか、ではせいぜい頑張ってください」

 

 満面の笑みを向けてくる女神に俺は歪んだ顔で答えた。


「ああ、俺が殺すまでにくたばるなよクソ女神」


 今日3回目の白い光が当たりを覆った。


    

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 重ね重ね、この小説をお読みくださりありがとうございます。


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