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わたしの妻の小説のアクセス数が伸び悩んでいる件における弊害について語りたい①


「最近、よく、死んだおじいちゃん、思い出すのよねぇ……」


 と、妻が突然言い出した。


 和室の座卓(テーブル)に向かい合ってアイスティーを飲んでいたときだ。

 我が家はコーヒーより紅茶党なのである。

 

 スピリチュアルな話題を振ってきたのかと思ったら、違った。


「私の枕カバー、なんだかおじいちゃんのお布団と同じ匂いがする……」


「……そこは、おばあちゃんじゃなくって?」


「そそ、なくって」


 そそ、とウンウンうなずきながら、妻は言うのであった。


「不思議よね〜」


「血の繋がりがあるんだから、不思議でもないんじゃないかい?」


「そうじゃなくて!洗剤とか柔軟剤とか、すっごい進化して、消臭成分配合!とか、生乾き臭に効く!とか、そういう効能うたってて、いろいろ選んで使ってるけど、枕カバーの臭いだけは、どうにもできないなんて……片手落ちって、こういうことをいうのかしら?」


「ちょっと違うような気もするが……そういや、なんでウチには、あんなに何種類もの洗濯用洗剤や、柔軟剤が、置いてあるんだい?」


「そうそう!聞いてよ、あなた!」


 妻はずいっと前に身を乗り出して、


「最近の洗剤や柔軟剤って、詰め替え用が、売ってるじゃない?」


「売ってるな」


「それが、買いに行くと、無いのよ!」


「???」


「だからね、買ってみていい感じだったから、次も買ってみようと詰め替え用を探すじゃない、すると、その詰め替え用が、売ってないのよ!!」


「…………よくわからんが、なんで売ってないんだ?」


「新商品が発売されて、旧バージョンの洗剤や、柔軟剤が、廃盤になってるのよ!!」


「廃盤……」


 と、言ってもいいのか?それは元々はレコードの流行廃(はやりすた)れに伴う言葉ではなかったろうか?ーーいや、レコードなどと言っても、若い人たちには通じはしないかもしれないがーー


「とにかくっ!」


 妻が、両手でバン!と座卓を叩く。


「洗剤や柔軟剤の進化が日進月歩すぎて、すぐに新しい商品に取ってかわられるのよっ!前の商品を使い切って、詰め替え用を買おうと思った頃には、もうその商品自体が、なくなって、代替わりされてしまっているのよっ!」


「そ、そうなのか?」


「そうなのよ!それだけなら、代替わりした新しい商品を、詰め替えればいいかなと、思うじゃない?ところが、そうはいかないのよっ!」


「ーーなんでだい?」


「必ず、書いてあるのよ!◯◯は、◯◯本体容器以外に入れないで下さい、とか、◯◯には、◯◯詰め替え用以外、入れないで下さい的な文句がっ!!」


 妻が、フンっと鼻息を飛ばす。


「これもう、どないせーっちゅー事案だわよ……!」


「しかし、それなら、新しいバージョンの商品を、本体ごと買うしか無いんじゃないか?」


「そうなるのよん。まったく、エコとはほど遠い、実態だわん!」


「いや、しかしーー」


 わたしは、そこでハタと気づいたのであった。


「それなら、旧バージョンの洗剤や柔軟剤のボトルを捨てればいいだけの話じゃないか?ウチに何種類も洗剤や柔軟剤があるのかの理由を訊ねた、わたしの答えになってないぞ……!」


 わたしの、言葉に、妻は、ハァッとため息をついて、


「やれやれだわん」


 両掌を見せて、呆れたわん、という素振(そぶ)りを見せた。


「毎日のお天気によって、ウチでは洗濯する日としない日があるのよん。下手をすると、洗濯物が溜まってしまうこともあるわん。つまり、洗濯量は、毎回毎回違うのよん。すると、毎回毎回、使う洗剤量や、柔軟剤の量も違うの!!」


「そ……そうなのか?」


「そうよ!使用水量も違うし、洗剤の量も変わる!そこでよ!そこで困るのよ!水量50リットルだから、それに見合う洗剤量を使いたいのに、30リットル分の洗剤量しかない!詰め替えようにも詰め変え用洗剤が、もう売ってない!混ぜるなって書いてあるから、注ぎ足しもできない!なら、新しい洗剤を買ってきて、50リットルに見合う量の洗剤を使うしか、ないじゃない!」


「お……おう」


「すると、30リットルに使う分の洗剤が残るじゃない!そんなことの積み重ねで、30リットル分の洗剤が、あまる、45リットル用の洗剤があまる、捨てられない、いつか使おういつか使おうと思ってるうちに、天気があやしい日が続いて、洗剤量MAXの洗濯が続いて、前に残した洗剤が使えない、そんなこんなの積み重ねで、洗剤のボトルが溜まるのよ!ーー柔軟剤も、以下同文なのよんっ!!」


「そ、そうだったのかっ?!!!」


「自分で洗濯をしない、男のひとって、これだから、もう……!」


 妻は、やれやれだという仕草をまた取って、ついでに首を振った。


 そこまで言われてしまっては、洗濯機も回せないわたしには、もうなにも言えなかった。


 洗い物はするが、料理はできず、洗濯物を干しはするが、洗濯機は回せない、わたしはダメな夫だ。


「すまなかった、おまえのそんな深い理由のある行為を批判したりして……」


「いいのよ、あなた。わかってくれたんだもの!それより、熱く語り合っているうちに、夕飯の支度をする時間がなくなってしまったわん。今夜は、お外ごはんしましょう?」


 わたしは、うなずくしかなかった。


 妻が小説家になろうへの投稿を再開してから、こっち、外食続きで、ちょっと自分のお腹まわりが気になってきているわたしであった…。

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