おまえとわたしの合言葉
「バズーーー!!!」
「れーーー!!!」
昨日と同じ出だしで申し訳ないが、これが妻とわたしの合言葉なのである。
リアル二度目の人生かけて、小説家になろうに投稿を続けている妻を、精一杯、応援しているわたしであった。
外食が増えたり、わたしの家事分担量が増えたことなど、ささいな副産物だった。
そんなわたしだが、たまには妻の手料理が恋しくなる。そこでーー
「たまには、おまえの得意料理のカレーが食べたいな」
と、ねだってみた。
「カレー!」
和室の座卓に座っていた妻が、目を光らせた。
「カレーなら、いま、ネパール人の方がやってるインドカレー屋さんが、15%OFFやってるのよ!」
「……それは、おトクだねぇ」
「でしょでしょ?今夜行ってみない?ランチはよく行くけど、ちょっとお高くなるディナータイムには、まだ、あそこ行ったことないの!楽しみだわぁ」
「……うん、そうだね……」
敗北感に苛まれる、わたしであった。
そんなわたしを見て、妻は、
「ふふふ。カレー屋さんに連れてってくれたら、明日はあなたの大好きなハンバーグにしてあげるわん♪」
「なにっ?!本当かっ?!約束だぞ!!」
わたしの目が、ピカーンと光ったに違いない。
「まっかせて!あなたの好物のピーマンとニンジンも、みじん切りにして、混ぜてあげる♪」
「ポテトサラダも……添えてくれるかな?」
「しゃーないわね!タマネギの薄切りとハムの入ったポテトサラダね、まっかせなさい!」
最近は、本当に本当に、妻の手料理にご無沙汰だった。スーパーの半額惣菜や、冷凍食品ばかり食べさせられていたのだ。
妻だって、まったく料理ができないわけではないが、料理はあまりしてくれない。わたしも、洗い物なら手伝うのだが、壊滅的に料理センスがないらしく、作るのはからっきしなので、妻の手料理は嬉しい。
「ふふふ、あなたったら、子どもみたいに、はしゃぐのね!」
「おまえに言われたくないなぁ」
「はぁっ?!」
失言であった。
「……なぁに?あなた、わたしが若々しくみずみすしいのは、外見だけじゃないって、言いたいの?」
「そんなことは……」
言ってない、と危うく言いかけて、
「おまえは、いつまで経っても若々しいよ!みずみずしいよ!」
フェイントに引っかかるところであった。
「……まあ、今日はお外でカレーだし、あなたの失言は、聞かなかったことにしてあげるわん。消化に悪いですものね」
わたしは、コクコクコクとうなずいた。
「とにかく、今日はカレーだ!わたし、感激!!」
それが、懐かしの西城秀樹の、
『秀樹、感激!』
を、もじったものだとわかるのは、長年つれそった、わたしだけであろう。
夕食の献立ひとつでも、こんなに盛り上がる、わたしと妻なのであった…。




