リアルギックリ腰
「あーなーたーたーすーけーてー」
「どうした、またネタにつまったのかい?」
「そんななまやさしいもんじゃないわよ!ギックリ腰やっちゃったのよ!あーもー寝ても起きても座ってても痛いわぁ!」
妻は座卓に突っ伏している。
「大変だ!!寝てなくていいのか?」
「寝るにも、布団も敷けないし、パジャマにも着替えられないわー。さっき必死の思いでトイレに行ったけど、お尻を、拭く仕草が地獄の責め苦だったわ……」
さすがの妻も、いつもの元気良さもど迫力もどこへやらだ。
「お風呂入りたい……」
「今日くらい入らなくてもいいんじゃないか?早く横になってたほうが、いいんじゃないのか?」
「ううう……痛みのあまり、今日19時更新予定だった『俺のカノジョに血と薔薇を』の更新が、20時ちょっと過ぎにズレ込んでしまったわん」
「スマホ操作もつらいほど痛いのかい?」
「スマホ操作もつらいほど痛いのよっ!!」
と、妻はおうむ返しに怒鳴ったあと、
「イタイイタイイタイ!」
と、悶絶したのであった。
「二日もお休みしてしまったから、きっとまたアクセス数が減ってしまったわん!さすがの私も、あそこであーなってこーなってこーなるのが忍びなくって、ついつい筆が滞ってしまったのよ……」
「大丈夫だよ!もともと三人しかブクマもついてないことだし、そのうち二人は、わたしとミネルヴァさんじゃないか!」
ミネルヴァさんというのは、妻のLINE友達で、自称女性だが、わたしは密かにネカマを疑っている。
「もうひとり!どこのどなたなのかわからないけど、貴徳な方が、ブクマしてくれてるじゃない!小さな第一歩から、バズーるにつながる大きな一歩となるのよ!イタイイタイイタイ!」
「更新が終わったなら、いいじゃないか。今日はもう寝なさい」
「ううう、仕方ないわね。あなた、お布団敷いて。パジャマ出して」
「……着せてやろうか?」
「ノーセンキュー!!」
と、妻はビシッと言ったあと、
「私が着替えてる所は、けっして、決して見ないでちょうだいよ!!」
鶴の恩返しみたいなことを言うのであった。
フスマ越しに、妻がイタイイタイイタイ言ってるのを聞きながら、これでまたわたしの家事負担が増えるんだろうなぁと考えつつ、そんなことはかまわないから、早く良くなってほしいとも考え、いかんいかん、もっと気遣ってやらなくちゃ!と、心に誓うわたしであった。
妻がギックリ腰になってるのは、リアルな真実なのであって、ネタではないのであった……。




