踊る踊る踊る!
「そういえば、『踊る大捜査線』っていうドラマがあったけど、あれって『踊る大紐育』から、来てるんだろうなぁ……」
昔々のミュージカル映画を思い出し、わたしはしみじみ呟いた。
「あら?『踊る大紐育』って、刑事物だったかしら?」
「いや、フランク・シナトラやジーン・ケリーが水兵さんの役で出てきて……楽しい映画だったって覚えしかないがなぁ」
「昔のミュージカルは、なんでも楽しかったわよ!私はやっぱり『雨に唄えば』が、良かったわ〜ジーン・ケリーもいいけど、デビー・レイノルズが可愛くて!」
「わたしはフレッド・アステアのタップも好きだったなぁ」
「『ローマの休日』とか、『マイ・フェア・レディ』のころのオードリー・ヘプバーンは、本当に妖精のようで…」
「『マイ・フェア・レディ』のオードリーの歌は、実は吹き替えだって、知ってたかい?」
「あら、そうだったの?!」
「『ウエスト・サイド・ストーリー』で主人公の歌を吹き替えた人が、オードリーの歌も歌ったんだよ。」
「言われてみれば、頭の中に残る歌声と歌声が一致するかも……」
「『巴里のアメリカ人』、『サウンド・オブ・ミュージック』、マリリン・モンローの『紳士は金髪がお好き』なんかも、面白かったなぁ」
「あのあと、『紳士はブルーネット娘と結婚する』っていう映画がでたことはあまり知られてないわねぇ」
「モンローが出てたのかい?」
「『紳士は金髪がお好き』でモンローとW主演だったジェーン・ラッセルが主演よ。私もそっちは、観てないんだけど……よかっわよねぇ、昔のミュージカル映画は」
と、妻もしみじみ呟いたあと、
「私がいま書いてる小説、『俺のカノジョに血と薔薇を』なんだけど、あれも昔の吸血鬼映画をモデルにしてるのよ。ミュージカルじゃないけど。私もTVの深夜放送で、水野晴郎さんが紹介してた映画として、一回しか見た事がないんだけど……幻想的だったわぁ」
「おまえの小説は、なんだか血生臭くなってきたがな……」
「おっと、その先は小説を読んでからのお楽しみよ!」
と、妻はわたしを遮って、
「たまには昔のミュージカルを鑑賞してみましょうか、明日は土曜日だし……あなた、何がいい?」
「一番最初に出てきた『踊る大紐育』がいいなぁ…」
「はいはい、そうしましょう」
わたしも昔を懐かしむ年齢になったのだなぁと、思いながら、この妻と、いつまでも共白髪でいたいと考えるわたしだった。




