表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/89

とにかくそれはヒドすぎる


「あの人、バカぁ?」


 と、妻がTVのニュース番組で流れる政治家の映像にむかって指を差した。


「ホントにバカね」


「おいおい、著作権に触れそうな言動と、政治批判は避けようよ…」


「私はいずれ小説で後世(こうせい)に名を残すけど、この人は、いずれ歴代一のバカ◯◯として、名を残すわねっ!ふんっとにもうっ!」


 わたしは、何か、かわりになる、楽しい話題はないか、話題はないかと、頭の中でグルグル考えた。


「そうだ!おまえの小説、ブクマが一人増えたじゃないか、やったな!」


「そうなのよっ!」


 妻は、パァッと顔を輝かせた。


「Twitterで別垢作って、夜中に何度も呟いたり、グ◯ーのコミュで、よろぴくね♪って呟いたりしたかいがあったわっ!!」


「……そんなイミジイ努力を、していたのか……」


 そんなヒマがあるなら、小説の更新のほうを、がんばればいいのにとは思ったが、口には出さなかった。


「あなたでも、ミネルヴァさんでもない、第三者が!私の小説を!読んでくれているのよ!待ち望んでいてくれてるのよ〜〜〜♪」

 

「うんうん、よかったねぇ。これでアクセス数に一喜一憂(いっきいちゆう)しなくても良いねぇ」


 と、わたしが言うと、


「あら?何故?それとこれとは話が別よ」


 と、妻。


「私の小説の素晴らしさを、もっともっと世に知らしめなくては!それが私の使命なのよ〜〜〜」


「……おまえ、信仰宗教の布教じゃないんだからね……」


「神よっ!!私は神になるのよっ!!!」


 と、妻は言い放った。


 目がイッちゃってた。


「この間、本屋で小学生くらいの男の子の二人連れが、マンガの単行本の背表紙を指差して、


『この人、神!あっ!この人も!』


 とか、言ってたもの。


 バズった作家さんは、神なのよ〜〜〜!!!」


 それに、と妻は付け加えた。


「普通、同人誌とかは三冊買うじゃない?一冊は鑑賞用、一冊は保存用、一冊は布教用って言うじゃない?これ世間の常識なのよ〜〜〜!!!」


「……そんな世間、知らない……」


「あなたの知らない世間なのよ〜」


「本当にあったら怖い話だな……」


「そこに『ら』付けるの大事!ありがとう!あなた!!」


 わたしには何を感謝されてるのかわからなかった。


「言論の自由なのよ!ペンは剣よりも強しなのよ!翼よあれがパリの()だなのよ!神よ地球は青かったなのよ!!」


「リンドバーグやアームストロングを引き合いに出しても、アポロ11号が月に着陸してから生まれた世代にはわからんぞ」


「リンドバーグ家の悲劇が、のちにアガサ・クリスティのオリエント急行の殺人につながっていくのよ、そのへんも知っておくと奥深いわ〜」


 妻はウンウン一人でうなずいている。


「昔の探偵小説はよかったわねぇ〜。アガサ・クリスティなら、ポアロにミス・マープル、謎のクイン氏も好きよ。もっと昔の作家さんだけど、エドガー・アラン・ポゥとか、古本屋まわって探したわ〜。でも、一番好きな探偵さんは、日本の神津恭介よ〜〜〜高木彬光先生、好きだったわ〜!」


 さすがに小説の事となると、話が尽きないようであった。


 語っているのは、探偵小説、つまりは殺人事件の話なのだが、妻が楽しそうなら、それでいい。


 今宵はこれまでにいたしとうございます……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ