人生はbitterだ…①
「本当に謎よね〜
ど〜してなのかしら〜
ど〜してなのかしら〜」
「おまえ、その出だしのセリフは、前にも使ってなかったか?」
「あらやだホホホッ!」
「で、何が謎なんだ?ナスカの地上絵か?学校の花子さんか?」
「ずいぶん色味の違う謎を、持ち出して来たわね。ぶっぶー!どちらでもありません!」
「……じゃあ、何が謎なんだ?」
「おかしくないのよ」
「は?」
「だから、全然おかしくもなんともないのよ!
「おかしくないなら、ど〜してなのも何もないだろうが…」
「ちっが〜う!おかしくないから、おかしいのよ!」
「……とりあえず、深呼吸二回してから、もういっぺん、話したいことを頭の中で整理してみなさい……」
素直な妻は、スーハースーハーと深呼吸をしたあとで、
「私よりアクセス数の多い小説を、ちょっとだけ読んでみたんだけど、どれもこれも、私の小説より、面白くもおかしくもないのよ!!」
鼻息も荒く、言ったのであった。
「……身贔屓でなく、おまえの小説は面白いと思うよ?だけど、引き比べてアクセス数の勝ってる小説のほうがつまらないと言うのは、どうだろう?」
「ーーあなたは、私の小説のほうがつまらないと、そう言うのね?!」
妻は座卓を、平手でズバンと叩いた。
「いや、ほらね、引き比べるほうが間違ってると、わたしは言いたいわけで…おまえの小説には、おまえの小説の良さがあるように、アクセス数の多い小説には、それなりの良さがあって、多くの読者に親しまれているんだろうと…」
「つまり!私の文章には!親しまれる要素が足りないと!そうおっしゃるのね!」
妻はズバンズバンズバンズバンと座卓を、叩いた。
さすがに手のひらが痛くなったのか、ちょっと眉根を寄せたあと、
「もしかして、私の文章、高尚すぎて、読者がついてこれてない?」
真顔で言った。
「私が時代を追い越した?!」
これも真顔で妻。
「五十歳だけに、五周まわって、新しすぎた?!」
もはや、わたしにはなんと言ってよいやら…。
しばらくぶつぶつなにか言っていた妻だが、最終的には、
「ミネルヴァさん!ミネルヴァさんに判断を仰ぎましょう!」
ミネルヴァさんというのは、妻の十年来のLINE友達でネット通の自称女性だが、妻自身は、直接会ったことがないらしく、わたしは密かにネカマを疑っている。
妻の小説をブクマしているのは、そのミネルヴァさんと、わたしだけだった。
「ミネルヴァさんから、返信が来たわ!」
この、ミネルヴァさんの返信内容をめぐって、また妻はすったもんだ騒ぐのだが、それはまた、明日の話にしよう…。




