表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カースドウェスタン  作者: フライング豚肉
十字架にかかるモノ
3/10

失われた信仰

「……悪趣味だねぇ」


一人、山間から岩山を見る男が居た。

歳の頃は三十そこらか、葉煙草をくわえながらカウボーイハットの下にある翠の瞳を向ける。

そこには真っ白な山を削り、権力者の顔が彫られていた。

それを拝めるこの場所には祭壇の数々。

だが、どれも管理者を失ったか、酷く寂れていた。


「ハドゥーンの聖地って聞いたが……ああ悪趣味だな」


この岩山は先住民の聖地だった。

その信仰を侵犯するが如く、権力者は自らの顔を掘った。

貴様等の信仰など下らない、我を崇めよと、そう告げる様に。

独り言つ男はリボルバーの撃鉄を起こす。


「女を泣かせると怖いからな、験担ぎに味方しとくか」


その銃身は権力者の顔を捉え、


「!」


発砲音。

そして権力者の額に、3つ目の眼窩が小さく空いた。

口笛を吹いてくるりとリボルバーを回し、ホルスターにおさめると満足した様に頷く。


「ジョ……ギィ……」


その足元、血塗れの男が伏していた。

場所は岩山の麓、林。

まだ息がある男のそばには、四つの骸。

どれも岩山の権力者と同じく、3つ目の眼窩を額に開けている。

呻く男は地に転がるライフルに手を伸ばすが、ジョギーと呼ばれた男は難無く蹴り払った。


「悪ぃ悪ぃ、ライフルは苦手でな。お前さん、運が良いやら悪いやら」


歩み寄り、発砲。

遂に骸は五つになった。

そしてポンチョからごそりとビンゴブックを取り出し、指を骸一つ一つに向ける。


「200、130、75、145、で、500っと。全部で……あー、向こうで数えるとすっかね」


言いながら男達一人一人の耳をボウイナイフで切り落とし、指笛を吹いた。

すると遠くから馬が駆けて来る。


「おーシシー、良い子で待ってたか?じゃ、帰ろうぜ」


そして馬に跨り、その場を後にした。

残された物は、骸と寂れた祭壇のみであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ