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幼稚園児の兄

幼稚園児の朝は忙しい。着替えもしなくちゃいけないし、顔を洗って丁寧に髪を整える。最強悩殺セクシー笑顔の練習をして、ご飯を食べる。

そのご飯がくっそまずいの、信じられない。育ち盛りの娘の目の前に、こんな炭化したもの出すし。

死ねって言うの?5歳にしてこの世を去れって言うの?!


「きりちゃん、駄々漏れだよ。お兄ちゃんショックでたまらないよ」

「あたしもたまんないわよ、こんなもの人間の食べ物じゃないわ。廃棄物よ!」


この顔面から汚物を垂れ流している、汚物男は一応あたしの兄。お母さんもお父さんも死んじゃって、あたしを育ててくれてる人。お母さんたちも子どもつくるんなら成人するまでしっかりしてほしかったわ。


「きりちゃん、今日お遊戯会の練習するんでしょ?見に行っていいかな?」

「何言ってんのよ、本番前に見にくる馬鹿がどこにいんのよ。それよりさっさと働いてあたしの教育費を稼ぐことね!」


あ、そろそろ時間だわ。この時間のないときに兄貴はまた・・・汚いわね、粗大ごみに出したいわ。


「きりちゃん、お兄ちゃんはきりちゃんをお嫁になんか出したくないよ・・・」

「お兄ちゃん本当に社会人なの?あたし妹なんて恥ずかしくて人前で言えない」


迎えのバスが来るって言うのにこの男。いつまでもうだうだ、本当にはっ倒したいわ。でもそんな余裕本当にないわね、こうなったら。


「お兄ちゃん、きり早く幼稚園に行きたいな。お遊戯いっぱい練習したいな、お兄ちゃんにほめてもらいたいから」


いつも幼稚園で男の子にお願い事するときみたいに、ちょっとうつむき加減で目を十分に潤し見上げる。どうしても目が乾いてるときはしょうがなく目薬は使うけどね。でも私の演技は完璧だからほとんど目薬なんて使わない!


「で、でも!そんなにうまくやって男に惚れられたりしたらどうする?!お兄ちゃん泣いてしまうよ!相手をたこ殴りにしてしまうよ!!」


ちっ、めんどくさい。もうあれしかない。切り札をこうも易々とだしてると女の価値は下がる気がするわ。


「お兄ちゃん・・・あたしお兄ちゃんが一番大好きだよ」

「きっ、きり・・・きり、きりぃぃぃ!!」


よし、今日もぎりぎり間に合うわね。



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