プロローグ
ここに集いたる人々の前に
厳かに神に誓わん。
わが生涯を清く過ごし、わが任務を忠実に尽くさんことを。
われはすべて毒あるもの、害あるものを絶ち、悪しき薬を用いることなく、
また知りつつもこれをすすめざるなり。
われはわが力の限り、わが任務の標準を高くせんことを努むべし。
わが任務にあたりて、取り扱える人々の私事のすべて、わが知り得たる一家の内事のすべて、われは人に洩らさざるべし。
われは心から医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。
ある職業を目指した者なら必ずといっていいほど覚えさせられる誓詞だ。
そんなことも知らない新入生は、中学・高校の総量では足りないくらいの教科書を入学式直後に突きつけられ後悔で笑顔を引きつらせた。
「どうやって持って帰ろ・・・」
Q.
「この職業を選んだ理由はなんですか?」
「この学校を選んだ理由はなんですか?」
A.
「テレビドラマや映画をみて憧れました」
「実際に優しくされて嬉しくて」
2月頃に全国で行われるテンプレート的な問答。
担当直入にいえばそんなものは何だっていい。安定した職業に就くための資格習得が第一目的なのは決まっているからだ。
かくいう主人公も入学したということはこの手の質問に答えたということだ。
A.「両親、姉がこの仕事をしてまして、、」
と答えると大体食いついてくる。まあ軒並み不合格だったけどさ
地元でも普通で有名な高校を卒業し、取り立て特技も取り柄もない普通な人間でややオタク寄りというスペック。物理選択してたのに受験に生物が必要な学校が多く学校選びに労したがめでたくこの学校に入学が決まったのだ。この時はまだ今から始まるであろう一人暮らしらに心を躍らせていた。