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095.積み込み作業

 要塞馬車に戻った一行が見たのは、機械馬に巨大な荷物が載せられている光景だった。その時。機械馬のお腹の部分にぶら下げるように大きな布で覆われた何かがぶら下げている最中だった。


 「おじさん、これって一体?」タクヤは口にしたらヴァリラディスはなにやら言いにくそうに言った。


 「実はな、今回の本来の旅の目的は、北の大陸で発掘された機械文明の遺物を回収して、そのあとでこの宿場町にやってきて、この巨大な遺物を回収して、ギルドの本部がある中の大陸の首都ジェムシームに戻るものだったんだ。

 そしたら本部から北の大陸を出たときに大回りして君たちを迎えに行きなさいという指示があってね、あの巨石に向かったわけさ。あんな辺鄙で危険な土地に行って無事なのは要塞馬車ぐらいだからな」


 「そうですか、それにしても魔道士派遣ギルドはどうして俺たちの事をしっていたのですか?」


 「それは神託所の・・・おっと、詳しいことは君たちに教えてはならないといわれているんだ。でも気を悪くしないでくれよ。最初に魔道士になる場合、そういった情報は言ってはならない事になっているんじゃよ」


 それって入学試験の合否は分かっても試験の点数は教えないのと一緒じゃないのかと、タクヤは思ったが、いずれにしても異世界に来た以上はなにかしらの職に就かないといけないのだから、今は従うしかなかった。


 「それにしても、その荷物は何ですか? なにか筒のようだけど」


 「これはな、なんでも遠い大陸や星々の世界に物を送り届けるための筒に取り付けられていた機械じゃそうだ。

 この機械が宿場町で発掘されたのでギルドが回収するというわけさ。詳しいことはわかんないが、なんでも破局戦争の際に人々に悪魔の炎を送り届けたという話さ。だから人々が悪用しないように、ジェムシームにあるギルド直属の工房で完全に破壊しているわけさ」


 その話を聞いて、この世界を悪魔の炎で滅亡させた大陸間弾道ミサイルのエンジンではないかとタクヤは思った。どうやら、この世界は二十一世紀の地球よりもいくらか進んだ文明を築いていたのが、一度滅亡したのは間違いないようだった。それで、今では機械文明を忌み嫌うような社会になっているのではないかと。


 また要塞馬車で読んだ書物に寄れば、この世界は機械文明が衰えた一方で、地球人類がいうところの魔法や超能力の類といった個人が持つ能力が発達して、どの能力を使うのが魔道士という事だったが、自分にそんな能力があるのかが不安になっているタクヤであった。

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