075.山道にて(5)方法がないわけでもないけど
「人間に戻りたい? 召喚前は人間だったというわけなの?」ヴァリラディスは本をめくりながらいっていた。
「いえ、ネコだったのおです。その・・・ネコに生まれ変わる前は人間だったわけで・・・」
アサミは言いにくそうに言っていた。よく考えると、いまの身体ってネコだったんだから、魂と心は人間であるとしても。
「そうか、まあそこの男と一緒になるなら人間になる方が都合がいいが。まあ、タクヤとやらも同族になるほうが手っ取り早い気がするが、とりあえず方法を教えてあげよう。
まず金を積んで転換魔道士に頼む方法がある。まあ、人間から高等霊獣なんかになるよりも費用はかからないが、たぶんデナケル銀貨千枚もあれば叶うだろう」
そういってヴァリラディスは本棚に置いていた文鎮らしいものを取り出した。
「これがデナケル銀貨じゃ! 1枚で十人家族十日分の食料が買えるんじゃ。まあ千枚稼ごうとしたら・・・結構働かないといけないなあ」
その銀貨は手の平よりも大きく重量もありそうだった。そんなに稼ぐというのは駆け出しの自分たちでは無理そうだとわかった。
「もうひとつは、アサミ。そち自身のスキルをアップして自分で魔動力を付ける事じゃ。そうなれば必要な時にはネコ耳女になって、普段は人間の女になっているということが出来るようにすればいいんじゃよ。まあ、出来るように学習する方法はいくらでもあるから、がんばってみないか?」




