072.山道にて(2)空から落ちたの思い出した
どんどん近づいてくる海、猛烈な空気抵抗、そし不可避な死・・・これが永川亜佐美が最期に味あった恐怖だった。アサミは前世の最期を思うと空を飛ぶのは・・・怖かった。
「おじさん、わたし前世では飛行機械が壊されてしまって、空高いところから落ちて死んじゃったのよ。だから鳥の籠に乗って空を飛ぶなんて怖いよ!」
「なんだあ、お嬢さんは前世の記憶を持っているのかね?」
「ええ、はっきりと。でも、どちらかといえば前世の記憶を持ったまま今の身体に復活したという感じかな? そういえば、この世界って前世って信じられているの?」
「まあ、信じられているかな? 結構魔道士にもいるからなあ、別の世界から召喚された時に前世といったり生まれ変わったりといったり。まあ本当のところどこまで真実かはわからないけどもな」
「そうですか・・・確かに前世だということを証明すること出来ませんしね。前世では父も妹もいたのですけど、もう会うこと出来ませんから」
「そうか・・・まあ、これからお嬢さんはあの男と一緒に生きていくのよな。ところで、わしは聞いていないがあの男とどんな関係なんだ?」
「それは・・・縁で結ばれたというところかも」
「そこんところは、ゆっくりと考えなさい。とりあえず派遣ギルド本部に連れて行ってあげるから」
ヴァリラディスにそういわれたアサミはタクヤとの今後を考えていた。わたしはこれから何のために生きていくのだろうかと。




