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062.外部はボロボロ内部もすごい(4)

 ガルアブル文字は漢字のような表意文字であったが、漢字以上に記号化されていて複雑な文字体系だった。そのためガノアの住民でも習得するのに長い年数がかかるというものであったが、二人にはなんとなく意味がわかったのだ。


 「えーと、この本は魔道士列伝か。この世界は・・・」


 「タクヤ、そういった本は後でゆっくり読んで。それよりも気にならない、派遣ギルドに出頭してもらいたいといっていたけど、わたしたちをそこに連れていくってことよね? わたしたちどうなるのだろう?」


 「どうなんだろうね。この世界の事なにもわからないから。此処に来てみたものといえば、見渡す限り一面の葦原と巨石、そしてこの要塞馬車だけだから。それにしてもこの馬車、どこかで見たことあると思ったら昔遊園地にあった”トロイの木馬”みたいだな」


 「よく似ているけど、これって巨大なウマみたいなもので引っ張っていたよね。しかも蒸気を上げていたし。それにしても、この世界の文化や技術はどうなっているんだろうね。想像もつかないわね」


 「そうだ! アサミこの要塞馬車の中を散策してみないか? それぐらいは大目にみてくれるだろうから」


 「それもそうね。とりあえずやることないし、それにね」


 「それってなんだ?」


 「わたし、ネコから人間に再びなれたのだから二本の足で歩きたいし。まあ耳はネコのままだけど」


 そういってアサミはネコが前足でかきむしるように耳を手でジェスチャーをしていた。


 「あっ! これはいけない。ネコの癖がとれていないわ!」アサミははずかしそうにしていた。

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