060.外部はボロボロ内部もすごい(2)
「まあ、ここで話をしていても始らないから取りあえず中に入ろう」
そういってヴァリラディスは合図を出すと上からゴンドラのようなものが降りてきた。どうして彼は最初から使わなかったのかは謎であったが。
三人の目の前にある要塞馬車の外部は物凄くボロボロだった。外装には木材が使われているようだが、継ぎ接ぎだらけで色もまちまちだった。
ゴンドラは軋むような音を出しながら降りてきたけど、三人も乗れるのかが不安になる代物だった。それを察したのかヴァリラディスは気を利かせたつもりのような事を言った。
「大丈夫! 壊れるって判っているものに自分も一緒に乗ろうと思う人間なんかいないのだから、一緒にのっていいぞ」
とりあえずゴンドラに三人は乗ったが、降りてきた時以上に激しく軋む音を出していた。それにスピードも恐ろしく遅かった!
「おじさん、これって新手の絶叫マシーンかなにかなのか? 速度が速い代わりに恐ろしく遅いでもスリリングだぞ! なんか縄が解けそうなんだけど!」
「そうか? これで普通の状態じゃよ。大丈夫さみんなが落ちそうになったらわしの魔動道助けてあげるから」
恐怖? のゴンドラによる上昇も終わり、要塞馬車の中に入った時に見たのは外装以上にボロボロの内部だった。骨組みの金属はわりとしっかりしていたけど、内装の木材も外装以上にボロボロで、穴を布や紙で補修している部分もあった。
「どうじゃ、この要塞馬車は建造から千二百年も現役なんだから、よくもっているだろ! まあ建造当時から残っているのは骨組みだけだが、それ以外は新しくなっているから大丈夫だ」




