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055.ところで

 タクヤとアサミ、そしてイリスの傍らにある巨石は奇妙な形をしていた。上の方がまるでキノコのようになっていた。また周囲が平らな葦原なので相当遠い所からでも見えそうだった。


 アサミはこの時真っ赤なドレスのような衣装を着ていたけど、これはこの世界の女性が一般的に着るようなもので、一種の民族衣装のようなものだった。もっとも、いままで生活していた地球の価値観からすれば中世ヨーロッパのような古めかしい感じがした。


 「ところでアサミ、生まれ変わったというとの事だけどあの世ってどんなところだったの?」

 タクヤは唐突に質問してきた。


 「あの世? そうねえ、思い出せないわ。わたしが思い出したのは永川亜佐美が海に激突して死んだ直後までよ。そういえば天国にいっているのよね、わたし。地獄に行っていたらこんなに早く生まれ変わってなんかいないだろうし。それにしてもなんでそんな事を聞くの?」


 「いやあ、俺の両親も兄も先に亡くしたからね。いまごろみんなどうしているのかなと思ったのさ」


 「うーん、そうなんだ。わたしの場合はアサミの人生がリスタートしたようなもんだから覚えているようだけど、特別な事らしいから。ところでタクヤ、前世なんて信じるの?」


 「そうだなあ、昔だったら信じなかったけど、こうしてアサミに再会できたのだから信じるかもな。それにさっき夢の中で、アサミと前世でも縁があったような光景を見たのさ」

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