054.巨石の傍で
タクヤ、アサミそしてイリスの三人は列車から降りた。その列車はいつの間にか古ぼけた木造車両のような外装に変わっていた。 三人は巨石の傍らで待つことにした。
「イリスさん、これから私たちどうなるのですか?」
アサミは巨石の傍に転がっていた丸太の上に腰掛けていた。どうも不安なのかアサミは腰の尻尾を左右に振っていた。
「これから馬車で迎えに来る方は、この世界の派遣会社みたいなものです。魔道士や傭兵などを各地に派遣しています。そうそう、この世界は地球でいうところの国家間の戦争は遠い昔に根絶されています。
そのかわりその秩序を維持するためには・・・まあ、そういった話は今は長くなりますから、おいおい覚えてください。とりあえず、その人が来たら勧められる木の実を食べてください」
「木の実を食べる?」
「この世界の言葉がわかるようになる知恵の実ですよ。それであなた達はその人たちと付いて行って下さい。そうすれば未来が開かれますから」
イリスはそういったが、アサミとタクヤは不安でたまらなかった。いままで暮らしてきた世界とは大きく異なっているのは間違いなかったからだ。
戦争が根絶された社会なのに、なぜ魔道士や傭兵が存在するのか? また馬車で迎いに来るなど文明レベルも地球よりも高いのか低いのかわからなかった。




