053.そういえば
タクヤはそういえばそんなことを昔、自分で年賀状にそういった事をしていたことを思い出した。年賀状なんて書いたことはもう十年はやっていなかったけど。
そういうことは十年以上前に年賀状を受け取っていた人に間違いなかった。しかも女の子で出していたのは・・・そう多くなかった。
その条件に会う女といえば永川亜佐美しかいないはずだった。でも目の前にいるネコ耳少女はどうみても二十歳以下だった。
「そういうことは、あんたは生まれ変わってきたというわけなの? アサミさんとして」
「まあ、そういうことになるのかな。だって永川亜佐美の記憶を持っているし。でも思い出したのはつい最近よ! そこのイリスさんのお陰よ」
「イリスさんって伊理さんのことか? どうしてこんな事をしたのですか? アサミは復活しているし、俺は若返っているし」
そんな二人のやり取りを見ていたイリスはおもむろに口を開けた。
「タクヤ様、アサミ様。これからあなたたちはこの世界で生きていくのですから、仲良くやってください。とりあえず、この列車から降りてください。この世界の鉄道は殆ど使われていません。
それから降りたところに巨石がありますので、そこで待っていてください、そうしたら迎えが来ますが、その人は馬車でやってきます」




