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030.わたしがこの先進む道は

 その後、奈緒美の婚約者の拓郎がやってきて、和やかな雰囲気の食事会がはじまった。はなしの内容からすると、どうも拓郎というのは奈緒美の最初の婚約者の弟で、奈緒美よりもずっと年下のようだった。


 ちょうど窓から見える風景は日没が近い事を教えてくれた。この家で過ごせる時間はほとんど残されていないという事だ。


 「アサミ様、もうすぐこの家ともサヨナラです。もう二度とここに戻ることはありませんから」


 「イリスさん。父さんと奈緒美とは今生で会えないのはわかりますが、もし天国に二人とも行った時にあえますか?」


 「わたしの管轄外のことなのであまりはっきりしませんが、もしかすると再会出来るかも知れません。その時は今日のことをお話してみてはいかがでしょうか? まあ、その時がくるのはずっと後のことかもしれませんけど」


 「お願いですが、もしよかったら二人の夢にわたしを出していただけないですか? わたしは愛しているしずっと見守っているという想いを伝えて欲しいのですが?」


 「わかりました。上司と相談してあなたの想いをお伝えいたします。二人の夢に自然な形で出してあげましょう」


 わたしの魂はアリスの身体から抜け出して、家の外に出た。外は夏の夕暮れに染まっていて綺麗な光景だった。ふと私は懐かしくなった。嬉しい時も悲しい時も辛い時も、この家から見える夕陽に感動した様々な想いが一度にこみ上げてきたからだ。


 「これで私は永川の家には戻れないのよね。一度死んでいるのだから当然だけど」

 そう思うとわたしは悲しくなったけど、やはり母さんもこのように想って亡くなったのかも知れないと想うと胸が締め付けられてしまった。


 次の瞬間、わたしは伊理さんの胸に抱かれる猫のアサミの姿に戻っていた。あれって夢だったの? そんなふうに想ってしまいそうだったが、父と妹の今の姿を見れて幸せになっていた。


 「イリスさん。さっき父と妹のいっていた話ですけど、この世界に災いをもたらしたニームを取り除いたといっていましたけど、あれってグロヴァル・コスモリアンのことでしたのですか?」


 「そうです。そのグロヴァル・コスモリアンと呼ばれるものに属していた者達は、この世界には存在してはいけない能力をもっていました。

 この地球でいうところの魔道力というもので、このまま放置すれば人類社会が滅亡するのが相当早くなったと判断されたので、強制的措置をとりました。

 実は申し上げにくいのですが、そのニームが生まれたのはこれからアサミ様が召喚される惑星ガルアでして・・・そこの原因が取り除けない限り、また地球に災いをもたらすかもしれません。もっとも、そこが平和であれば地球ももんだいありませんけど」


 なんていうことだろうか、わたしの家族を不幸にした大元の原因がそこにあるとは思っていなかったので驚いてしまった。

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