265.同衾するふたり
メイファンはイライラしていた。まだ報告書が完成しないからだ。今回のミッションでは巡視艦メルキュアが喪失し艦長が死亡認定、青銅の塔が消滅するなど、少人数のミッションにしてはギルド体制を揺るがす事件になったからだ。
それなのに・・・当事者の二人といえば遊んでばかりいた。まあギルドに報告書を上げる身分でないのだから仕方なかったけど。そんな事を繰り返す事七日目。ようやく報告書も仕上がりゆっくりできる時間ができた。
二人は昼間は波打ち際で遊び、夜は同じ寝具で同衾する毎日だった。そんな二人に対するメイファンの役目は同衾しても契りを結ぶことないように見張ることだった。そんな役割で疑問なのは、契りを結ばないように同衾させなければいいだけなのに!
だからメイファンは二人の横で毎晩見張っていた。まあ、何も起きないのであるが、二人によればこうしているとよく夢を見るという事だった。その夢もこの島に来てからは”死の女神”の事をみるということだった。
だからメイファンには二人の同衾を止めさせることが出来なかった。それにしても自分はこうして若いカップルの寝姿いつまで毎晩みなければいけないのよ! そう思ってにらみつけていた。自分も若いのに!
でも考えてみれば、こういった夜が続くのが平和なのかもしれなかった。メイファンの手元に次の指示書が届いていた。その封筒には前にもまして厳重な封印がしていた。特定の魔導士以外が開封すると中の紙が灰になるしかけがしていた。
それを開封したメイファンの表情がこわばった。そこにあったのは・・・二人の今後についてだった。それを読んだ後メイファンは指示通りに紙を水瓶に浸した。するとあっという間に繊維状になってしまった。
メイファンは夜空に浮かぶ二つの月を眺めながら考えていた。この二人の試練はまだ序の口なんだと。しかも、この世界が終わりかねない事になるかもしれないと。そして寝具に入り二人の穏やかな寝顔を眺めていた。この時は不思議と心が休まっていた。
「そうか、この二人はやっぱり・・・運命は決まっていたんだ。でも最後に決めるのはどっちなんだろう二組のうち・・・わたしなら、この二人が決めることを望むわ」
メイファンが言った事は何を意味するのか誰にも分らなかった。彼女の目の前にはネコのように二人丸まった姿があった・・・
中休み編はこれで終わりです。次のミッションに待つ者とは、そしてアサミとタクヤと同じようなカップルが存在しているらしいですが、それと会いまみえる日はそう遠くなさそうです。




