219.ルッチャ砦のワニ革男サランジャー
ルッチャ砦を守るサランジャーは孤独だった。このあたりに町らしいところはなく、砦の存在目的といえば灯台を守るためであった。
しかし、このあたりの海域は交易船も殆ど来ないので海賊が出没するところでもないので、重要度は格段に低かった。だからサランジャー以外に砦には誰もいなかった。その代りいるといえば家畜の類だけだった。
そんなところだから、最寄りの町までデラル鷹で来た後一行はメイファンが借りてきた魔法船で二日の航海でをしたけど、途中見るべきものはなかった。
「まあ、今回の依頼だが・・・って、前に仕事をしたのはいつだったかな? わすれてしまったなあ。昔から言うだろう。消防士と警察隊と魔導士が仕事なんぞしない社会が一番平和だって。
うちの砦にいる魔導士なんて世界一仕事ないと違うんじゃねえか? だから仕事といえば自分の食い扶持を作るついでに人魚集落に作物をやるぐらいだったからな。
おおそうだ話が脱線してすまねえ。前に魔導士が来たのは二十五年前だったからな」
サランジャーは年齢は最後まで分からなかったけど、相当長い時間生きてきたようだった。それに進む動作は・・・とてつもなく遅かった。何度も一休憩をはさむからだ。
砦の入り口から一行が待つ部屋まで来るのに小一時間かかったので、アサミは居眠りしていたぐらいだった。
「そこのネコ耳娘! 起きなさい! 今回のミッションは君を人魚に仕立てるんだからな! 」
アサミは人魚と聞いてある人魚を思い出していた。幼い日に絵本で見た人魚だった。それは下半身が魚で上半身が娘で、長い髪をしていて胸は・・・
「あのう、わたしを人魚にするという事ですがどんな姿になるのですか?」
アサミがそういうとサランジャーはデスクの脇にある小さな木の像を取り出した。その像は彼の作品のようだったが、良い出来栄えだった。どうやら雨の日に外の仕事が出来ない時に暇つぶしで作ったもののようだった。
「この像にあるようなものさ。この海域にいる人魚は全て他の地方からの出稼ぎが変身した者なんだ。まあ、この海域には遥か昔の古代都市が海底奥深くに沈んでいるけど、その財宝を探すための集落があるんだもの、はっきり言ってしまえば割に合わねえんだよ。
だからギルドもおかしなものを探し当てたときのために念のために砦を700年前から設置していたんだが・・・役たたづだなあ。暇で暇で・・・」
彼が言うのは愚痴ばかりだったが、彼が取り出した木の像の人魚は化け物にしかみえなかった! アサミはあんな浅ましい姿にならないと思うと憂鬱になってしまった。




