214.ダンジョンからの脱出
エヴァ・エリの咆哮を聞きつけようやくフィルビー、ヴァークロウ、そしてアサミが合流してきた。その時までにはダンジョン内は落盤や崩落が続発していて、もはやヴァークロウの残してきた仲間を助けるのは絶望的だった。
「タクヤ! 無事でよかった! しかしなんだこの遺体は? あんたがやっつけたのか?」
「いやちがう。サクロスという男の生皮を被った奴と戦ったんだ。奴の正体は漆黒の闇のようだった」
「そうか、奴はウィンギウム・チャガスっていっていなかったかい?」
「名乗らなかったから分からない。でも獣のようなやつだった・・・それよりもアサミは大丈夫か?」
タクヤはアサミのところに駆け寄ったら、まるで幼い少女のように泣き崩れた表情のアサミがいた。それはなにか恐ろしいものにでも遭遇したかのようだった。その顔を見たときさっき奴が魂がどうのこうのと言っていたのに関係するのかと思っていた。
「アサミ、どうしたんだその顔はいったい?」
するとタクヤにアサミは抱きついて大泣きし始めた。相当つらいことを体験したのは間違いない様子だったが、こんな状態では聞くこともできそうになかった。
「それよりもタクヤ。ここからどうやって脱出する?ここから少し行ったところに地上に続く穴があるようなんだけど、登っていくことは難しいんだ。だから、なんか思いつかないか?」
そのとき、タクヤとアサミの耳にエヴァ・エリの心の声が聞こえてきた。”汝ら割れの背中に乗れ。さすればなんとかするから”と。
それを聞いたアサミは泣き止んでなんとか動き出そうとしはじめていた。とりあえずここから脱出しなければ話にならないと! でも重大な問題があることに気が付いた。エヴァ・エリの毛は短く大人四人が乗るのが難しいという事に。
「ちょっとまって、エヴァ・エリちゃんってネコだから皮膚が伸びるでしょ! だから乗っても皮がたるんでしまって手を放しそうだし。それに足腰弱そうだよ。二回往復するのも難しそうだよ。だから一人残るわ三人だったら登れるかもしれないわ・・・わたし残る!」
アサミはその時そういったのは、私がいたら更なる災いがやってくるのならここで残って犠牲になっても構わないと思ったからだ。残していくことなんて出来たないとタクヤらは言ったが、残された手段も時間も無くなりつつあった。こうしている間もダンジョンは圧潰しつつあった。
その時には結界も破れ、ダンジョン内で生活していた物の怪が騒ぎ始めていたが、彼らはダンジョンの最下層に避難していた。その下層はさらに広がっているようだった。しかしタクヤもアサミも地上に向かわないといけないはずだった。その時遠くからメイファンの声が聞こえてきた。




