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021.満天の星空

 タクヤの夢の世界から戻ったわたしが眼にしたのは、満天の星空だった。公園の周りの住宅の明かりも消え、僅かな街灯以外に星の輝きを邪魔するものが無くなっていた。


 「イリスさん、わたしたちが行く世界ってこの星の中のいづれかにあるのですか?」


 「そうだね、遥かに遠いところにあって、この地球からは確認できないとはおもうけど、この空のどこかからその光は届いているかもしれないわ。もっとも向こうに行くとこっちの光も世界もわからないはずだよ」


 「そういうことは、もう一度そこにいくと地球には二度と戻れないという事なの?」


 「そうなるわね。今回の措置も特別なものだから、アサミ様の意識を持ったまま召喚させると、そのぐらいのペナルティーは仕方ないわ。この世界では死んだ人間は同じ人間として生き返れないのが定めだから」


 「そうよねえ、もし許されるのなら本当は永川亜佐美として迫崎琢哉に再会したかったわ」


 「わたしも本当ならそうしたかったわ。別の地球とよく似た世界ではあなたたち二人は結ばれていたかもしれないのに残念ですわ。でも一度狂った歯車は元に戻せないけど、その歯車を再び組み立てることなら・・・

 そう、これから行うことはあなたとタクヤ様を再び結びつけるためのものですから」


 「そうですか・・・でも、ひとつ質問が。わたしの今の姿は魂を実体化したようなものなんですよね? そういうことは今の身体はネコってことには変わらないですよね? そしたら召喚されてもネコのままじゃないのですか、わたしは?」


 「まあ、そういうことですけど・・・実はこれから召喚してもらう世界ですが転移の際に、どうしても変異が起きるのです。その際にあなたのネコの身体を再構築して人間のアサミにするのですが・・・何割かはネコの特徴が残ってしまいます」


 「え? どういうことですか?」


 「本当は新たな世界に行くときには、そこにある生命体の身体を新造するつもりだったのですが、これから行く惑星ガルアですが、タクヤ様の変異は若返りとその世界で生き抜くための能力の付与で押さえられるのですが、アサミ様はどうしてもネコ化したままになるようで・・・どのくらいの割合かはやってみないといけないのですが・・・」


 「そういうことは、タクヤと一緒になれないかもしれないじゃないですか!」


 「その点は大丈夫! そのガリアの住民は基本は人間ですが、魔法の力などで異形の姿になっている住民も多いけど、人間に戻る事も可能だそうで・・・チャンスがあれば完全な人間になれるそうですよ」


 「なんだか面倒くさいなあ、そのガリアって! でも、それぐらいの壁を越えられなかったらタクヤと一緒になれないという試練ですか、それは?」


 「まあ、そんなところですわ・・・苦労をかけますが」


 どうもイリスさんも彼女が所属する機関も、そこまで特別扱いは出来ないという事らしかった。それにしても、ネコのあたしが転生を経ることなく人間になれるのだから、それくらいの苦労は仕方ないかもしれなかった。


 気が付いたとき、わたしはいつもの猫用のゲージの中に閉じ込められていた。そのゲージはタクヤがぶら下げていたが、そのゲージの檻の隙間からも、かなり狭くなってしまったけど、星空が見えていた。

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