205.罠かもしれないけど
タクヤを探すにしても一切の手がかりがなかった。それはヴァークロウも同じでサクロス・エクサスが持っていたエヴァ・エリを探すために用意していた魔道具も、サクロスの生皮と一緒に持ちさらわれていたからだ。
そのとき、フィルビーはダンジョンマスターの正体はウィンギウム・チャガスではないかと思っていた。もしかすると成り代わっていたのかもしれなかったが。
「とりあえず三人でタクヤの居場所だけでも探り出そう。助け出すことが出来なくてもギルドの特殊部隊の助けになるはずだから」
「それもそうだけど、あてはあるのかよ? このダンジョンはじめてなんだろ? それに、そのダンジョンの地図って古いのだろう?」
「ああ、でも見当がついている。ここから三層下に比較的大きな空間があるのだ。もしエヴァ・エリと一緒に監禁されているとしたらそこだとおもう。とりあえず確認しに行く価値はあるはずだ」
「それもそうだけど。でもウィンギウム・チャガスとばったり遭遇する危険があるだろう」
「それは、ここにいても一緒。やつを恐れて隠れていたら自分の身を守ることは出来ない。箱にでも隠れていたら箱ごとつぶされかねないし! ここは打って出てみる価値はある。それにしてもヴァークロウ君。意識のない君の班のメンバーはあのままでいいのか?」
「あいつか? あいつは気が弱いから瀕死と入っても気を失っているだけだ。まあ明日の朝にでもなれば復活するはずだ。こういうときには役にたってほしかったんだが仕方ないか」
「それって、どういうことなんだ?」
「あいつは一種の探知能力が優れていてさ。エヴァ・エリのようにダンジョンに隠された生き物の気配を言い当てることができたんだよ。実際、エヴァ・エリの気配を感じたのだといって案内している最中に襲撃されてしまったのだが」
そんな会話をしているとき下のほうからなにやら声がしてきた。それは猫のような鳴き声だった。もしかするとエヴァ・エリのものかもしれなかった。
「とりあえず行ってみるか? もしかすると大猫さんのふりをしたウィンギウム・チャガスかもしれないが」
とりあえず一行は出発した。




