204.工房で作られしモノ
ヴァークロウが見つけた石版にはなんらかの設計図のようなものが描かれていた。その中央には大きな穴が開けられ読み解く事ができなかったが、そこには何か重要な情報があったのに違いなかった。
「これは、最近各地で使われている消滅爆雷じゃないのか? その中心部の設計図みたいだ」
「ヴァークロウくん、なんでそれがわかるのだ? あれは魔道士ギルドの最高レベルの機密のはずではないか?」
「それは・・・親父と一緒に行動していたときに偶然見つけてきたんだよ。消滅爆雷を! まあ作動前だったからギルドで解体してもらったけど、そのとき見たんだよ、中心部分を。もっともギルドには口止めされているけど」
「つまりだな、最近起きている消滅爆雷による破壊活動で使われていたのはここで作られていたのでもいうのかね?」
「そうだ。だって不釣合いだろう。こんな破綻戦争以前のような骨董品をコピーしたようなものがあるなんて。もっとも壊されているけどな」
そういってヴァークロウが持ち上げた小さな金属板はアサミには地球の電化製品で使われているようなプリント基板のように見えた。ここは地球で言えば兵器工場だったようだ。
「でも、それなら何で職人を殺戮しなければならないんだろうね」
「アサミさん。それは見当もつかねえ。でも一体何者なんだ、こんな恐ろしいことをしたのは?
確かなのは用済みになったのかもしれない。考えられるのは工房の誰かが裏切ったと思ったのか、それとも・・・」
「それとも?」
「消滅爆雷よりも重要なモノをおびき寄せるために必要だったのだと」
アサミはさっきのフィルビーの話から、もしかしてターゲットは自分かもしれないと思った。でも、なんでこんな事をしておびき寄せる必要があったのかが疑問だった。もしアサミ一人だけがターゲットだったら、タクヤのようにさらえば良かったし、この世界に来てから拉致できるタイミングなどいっぱいあったはずなのに。
「あなたは、わたしが今回の事件の原因と思っているわけなの?」
「そういうわけではないんだが・・・ひとつの可能性というわけでいったまでだ。気分を害したのならすまなかった。
それはともかく、ギルドの特殊部隊が突入してくるまでに、君の相方を探さないといけないだろう! もしかすると特殊部隊はこのダンジョンを完全に破壊するかもしれないぞ」
それを聞いてアサミはタクヤのことが心配になってきた。




