197.職人見習い少年ゼイリオス
床の板をゆっくり外すと、その背中は毛むくじゃらでルンファが小さくなったような姿だった。それを見てルンファは声をかけた、
「あんた、わたしと同類なの?」
しかし返事がなかったので、思わずルンファはその子供のような毛むくじゃらを抱き上げた。その顔は深いシワを刻んだ変わったサルのようだった。
「お前ら仲間か? みんなを殺した・・・」
「違うよ、助けに来たんだよ。いったい何が起きたのよ!」
「みんな、よくわからないうちに殺されたんだよ。いつものように作業をしていたら、風のようなものが吹き込んできたと思ったら、身体が切り刻まれて。なかには連れ去られたのもいたようだけど。
わいは、思わず床板をはずして隠れたから、そのあとは何が起きたのかわからない」
ルンファの腕に抱かれた彼は少年のようだった。この時まだ恐怖に震えているようだった。
「君、タンジョンマスターはどこにおられるのだ? それに名前はなんていうのだ?」
フィルビーは彼に質問してきた。すると少し落ち着いたのかしゃべり始めてきた。
「わいの名はゼイリオス。ここで皮のなめしをしていたんだ見習いだけど。ダンジョンマスターってうちの長のことか? 実は数日前からいなくなっていて・・・どうなったというのだ? まさか長が・・・」
そういうとゼイリオスは工房の遺体の顔を確かめ始めた。彼の顔は涙で濡れていた。




