195.このままダンジョン牢でいるしかない
「どうして人間の言葉をしゃべれるのだ?」
タクヤは驚いていたが、サクロスはきょとんとしていた。どうもタクヤにしか聞こえていないようだった。これって閉じ込められて精神に変調をきたしたわけでないと思いたかった。
「しゃべれるのではない、お前が”御神託所の巫女の感謝”の指輪をもっているからわかるのだ。その指輪はある程度の知能がある生物だったら、読み取れるんだ」
そういってエヴァ・エリがすりよってきた。その顔はネコそのものでも巨大だったのでタクヤは少しのけぞっていた。
「拙者の飼い主でもあるエリン公もよく似た機能を持つ指輪を持っているからいろいろとこの世界の事をしっているんだよ。まあ、拙者はこの国の聖獣なのでどこにも出ていくことは叶わないがな。ところで、お前たちは何しに来て捕まったんだ?」
「それは、あんたを探すために派遣されていたんだよ。そのエリン公閣下の依頼で!」
「そうか、あのケチおばはん。拙者を探そうとしてくれていたんだ。いつも食事代がかかるじゃ、もう少し安い食材にしてくれないかと文句言ってたのに・・・」
そういうとエヴァ・エリは少し涙ぐんでいた。そのエメラルドの大きな瞳に浮かぶ涙は美しかった。
「それじゃあ、エヴァ・エリ。ここからの脱出方法しらないか? 早く出たいだろうこんなジメジメして狭い所から」
タクヤの言葉にエヴァ・エリは諦めているような口調で言い始めた。
「そんな方法があるなら拙者が実行している。いつもの陽の当たる風通しの良いテラスで小鳥の声を聴いて昼寝したいし・・・正直な話、このダンジョンに入ったのは初めてだから、なにがどうなっているんかわからない」
「ってことは、誰かに連れてこられた時の事を覚えていないのか?」
「よく覚えていない。いつものように昼寝していたら急に体が持ち上がったんだよ。そんなの子猫の時代以来だから驚いたのなんのってね。そして抵抗できないまま結界内に入ったとたん気を失ってね、いまじゃこのありさまというわけ!」
「じゃあ、俺たちと同じように相手の正体わからないんだ。じゃあ、これから俺たちはどうすればいいんだ」
「このままいるしかないなあ。一日一回食料がボソッと出てくるのだが、そのときチャンスをうかがうしかないよな。そのときまで体力を温存しておくことだな」
エヴァ。エリとだけ会話をしていたら、取り残されたサクロスは怒り出していた。
「おい! 俺にもエヴァ・エリがなにいっているのか教えろよ!」




