187.突然消えた!
その悲鳴はもしかするとヴァークロウ・ラヴェルス班の誰かの悲鳴のように思えたアサミは思わず行ってみようといったところ、タクヤは口をはさんできた。
「これって、一応競争をしているんだよな? いったら失格とはならないか? でも、あの悲鳴ただ事ではないから、確かめに行ってみてもいいかな」
とりあえず一行は悲鳴がした方向に向かうことにした。そこに行くにはさらに螺旋回廊を降下していかなければならなかった。地底深くに向かっているためか、だんだんと気温が下がって湿度も高くなって過ごしにくい状態になった。その状況でルンファは自分の手足にある毛皮をしきりにこすっていた。
「あたい、こんな寒いところイヤ! やっぱお日様が照って暑い方がすごしやすいや!」
「なにいっているんだ? 本当の魔導士は暑いだの寒いだの関係なしに使命を果たさないといけないんだぞ! これしきの環境の変化我慢しろ!」
「そういうファビューさんはどうなの? 身体は大きいけど少し震えているようだけど?」
「正直に言おう、わしも寒いんじゃ! でも、こんなの氷上の交易市で丸四日も商った経験からすればまだ序の口だ!」
ルンファとファビューの掛け合いにアサミは少し微笑んでいた。やっぱ、仲がいいのはいいことだと。でもアサミはタクヤとはいったいどんな風になっていくのだろうかと心配だと考えていた。本当に結ばれるまでに超えないといけない何かを感じていたからだ。
そんな時、回廊の中を猛烈な風のような圧力を感じ、一行は側壁に叩き付けられてしまった。アサミは後方はるかに吹き飛ばされてしまって一瞬気を失ってしまったが、すぐに目を開けた。すると恐ろしいことに気付いた。目の前に二人しかいなかったのだ!
「タクヤはどこなのよ」アサミの絶叫が回廊内をこだました。




