181.ダンジョン・デ・サンミュアッツ
エリン公爵から見せてもらった冊子によれば、彼女より五代前の公爵が博愛精神の持ち主で、他のダンジョンから追い出されてきた物の怪の類を保護したのが、目の前にあるくダンジョン・デ・サンミュアッツの始まりだとされていた。
またダンジョンは古い銅鉱石の坑道を改築したもので、サンミュアッツの町の地下を蜘蛛の巣のように張り巡らされているうえ、地下には物の怪の食料となる豊かな地下植物などの生態系が形成されているので、一度入った物の怪は結界の外に出るのも嫌になってしまうぐらい快適な環境だという事だった。
「たしか、おやじに聞いたことがあるな。どこかの小国でダンジョン特有の妖怪を匿っているダンジョンがあると。それがここだったとは。まあ、この事典に書かれているのは真実だったんだ」
ヴァークロウ・ラヴェルスはそういうと、胸から小さな本を取り出した。それは各地にあるダンジョンについて書かれている事典のようだった。
「そうよ! このダンジョンにはいろんな物の怪がいるわよ。中には肉食もいるから気を付けてちょうだい。そうそう、くれぐれも殺さないでちょうだい! 何が起きるのか想像できないからね! まあ、あななたちが食われそうになったらしかたないわ。
そうそう、うちのエヴァ・エリちゃんを見つけた時点で終了にするけど、見つからなかったらずっと探してもらいたいところだけど。まあ、その時考えるわよ。一応、ギルドからは五日間といわれているから。早く終わったら、ゆっくり休暇していいそうだからね。だから早くうちのを見つけてちょうだい!」
エリン公爵はそのとき、ただの飼い主バカのようにしかみえなかった。本当は早く自分で探したい様子だったが、ダンジョンに自分一人で入るのが嫌な様子だった。
そうアサミが考えていた時、おかしなことに気付いた。いつの間にか後ろにドレスの上にビキニトップのアーマーのようなものを身に着けた変な格好をした少女が立っていたからだ。
「そうそう、あなたたちの仕事ぶりを見るのは其方の魔導士ギルドから派遣された方です。見た目は、若いけど幼い時から登録されている天才魔導士です。様々な魔法が使えるようですが、あなたたちがピンチに陥らない限り手出ししないそうです」
エリン公爵に紹介された彼女は一同の前に進み出てきた。彼女は最も背の低いルンファよりもさらに低く、まるで15.6の少女のようなあどけない顔だった。
「はじめまして、閣下に紹介されたメイファンです。普段は筆頭統領直属のとある機関でお仕事しています。今回はあなたたちの行動を拝見いたしますので、よろしくおねがいします」




