179.ライバル?
あとで聞いた話であるが、インヴァラ公エリンが治めている公国は貧しく、少しでも国民のためにと公爵として受け取る歳費をギリギリまで削り、自ら政府庁舎の清掃員をするなど倹約していたという。そのため、ダンジョンへ入って探させる人員の日当すら払えないありさまだったという。だから魔導士ギルドに要請した際も、事実上「援助」みたいなもので、滞在費以外の負担はないコースだった。そのため、研修終了試験とされてしまったようだった。
「閣下、そういえば我々の班のほかにもう一班くるということでしたが、そちらは来たのですか?」
「たぶん、もうすぐ来るはずですよ」インヴァラ公エリンが口にしたその時、ドアをノックする音がした。その時、もう一班の研修魔導士が到着した。その班はみなお揃いの魔導士専用の甲冑を纏っていた。それは皮で出来たプロテクターに装飾を施したもので、まるで芸術品だった。
その班はヴァークロウ・ラヴェルスが班長を務めていて、四人とも著名なバウンティ・ハンター魔導士の子弟だった。だからダンジョン探索はお手の物だった。
「おやおや、まぐれか実力かは知りませんけど、伝説の魔導士の道具を持っているアサミさんとタクヤさんが入っている班ですか?
まあ、合格できるようにダンジョンを散歩してきなさいよ。俺たちが聖獣を地上にお連れするからな。あんたたちはダンジョンのダの字も知らないんだろ? 無事に帰ってくることだけ考えときなよ」
ヴァークロウは挑発するような口調で言い寄ってきた。しかしそれは的をいていたかもしれなかった。たしかにファビュー班の四人はダンジョンというものに入ったことなどなく、どうやって探すのかイロハすら知らなかった。
「あたい、ダンジョンってお城の中にあると思ったけど、ここってどんなダンジョンなの? 教えてもらえないですか?」
ルンファはインヴァラ公エリンに質問したけど、ヴァークロウらは失笑していた。この四人の男女は洗練された体格とルックス、それに気迫も強く感じた。それに対しファビュー班ときたら、熊にサルにネコに平凡な男・・・直接対決したら勝ち目はなさそうだった。




