176下山の途中で
アサミは半ば意識が呆然としたままで下山していた。それには一行みんなが心配していたがタクヤが特にきになっていた。
「アサミ、さっきからいっているけど訳の分からない幻をみたというけど、それっていったい何のことなんだ?」
「うーん、わからない。ほら、恐ろしい夢を見たのだとわかっていても、目が覚めると全く思い出せないような感じなのよ。でも、ものすごくリアルな夢だった気がするのよ。でも思い出せないの」
「それって、神官のおっさんから無理して思い出さないようにといわれていたじゃないか? 俺も気にならないと言ったらウソになるけど、やっぱ止めた方がいいだろう、それは」
「そうね、とにかく次の目的地に急がないとね。ファビューさんとルンファさんの邪魔にならないようにしないといけないしね」
この時、一行はギウムの指示で登ってきたのとは別の登山道を下っていた。それは急角度ではあるけど距離は短いので早く降りれるというものだった。しかし、それは梯子を下るような急角度だったので、危険がいっぱいだった。
しかし、その下りを苦にしないのがいた。ルンファだった。彼女は密林の木々や岩山を生活の場にしていたので。平気のようだった。
「なに、ゆっくりしているのよ! はやく降りましょ! この道の麓に美味しい食事を出す宿屋があるとギウムさんがいっていたから、急ぎましょ!」
「おい、サル娘! あんたは良いかもしれないけど、わしは足がめり込みながら降りているんだぞ! 少しはわしの体形の事を考えろ!」
ルンファにファビューが突っ込みを入れるような声が山にこだましていた。




