174.お祓い
朝食が終わり出発までのわずかな時間に一行のお祓いが行われることになった。お祓いといっても祭壇の前に座った一行の前で神官がお祈りを捧げ、話をした後で証明書を渡すという簡単なものだった。
その時、ギウムはお祓いをしながら一行四人の潜在能力とその背景にあるものを探ろうとしていた。お祓いが最終段階になったとき、突如ギウムがうずくまってしまった。その時、アサミは思わず駆け寄って介助しようとしたが、ギウムはものすごく恐ろしい形相でその手を思わず振り払ってしまった。
「神官! いったいなんてことをするのですか! せっかく・・・」
ファビーとタクヤはほぼ同時に叫んでルンファはきょとんとしていた。ギウムのその顔は地獄のような光景を見せられ恐怖におののいていたようだ。その原因は・・・アサミだった。
「すまない、アサミとやら。思わずわしはやってしまったが・・・君の魂の記憶を探ろうとしたんだが。なんてことなんだ。その悲しい想いと・・・殺戮の行為は」
「それってそういうことなんだよ、おっさん!」
ギウムの言葉にタクヤが怒鳴っていた。アサミの目には涙がなぜか浮かんでいた。そして、こうつぶやいた。
「なんでだろう、なんで悲しいのだろう。それに、この罪悪感は・・・」
泣き始めたアサミにギウムはそっと手を当て、何かを念じ始めた。するとアサミはそのまま気を失ってしまった。そしてギウムはタクヤとファビーにそばの長椅子に寝かせるようにと言って、座り込んでしまった。
「神官、アサミに何があったというのですか? あたいにもわかるように説明してください」
ルンファはアサミの身体をさすっていたが、なぜかその身体はものすごく熱くなっていた。しかも顔は悪夢にうなされているようだった。
「そのアサミの前世は・・・天空より墜落し四散し、その前は極限の太陽の如き光の中で消滅し、さらにその前は嵐の太洋に飲み込まれたりと、ことごとく恐ろしき最期を迎えている。
そういった悲劇的な魂の記憶は、誰にでもあり得るのであるが、わたしが魂に触れようとしたときに見てしまったのだ・・・彼女の原罪を!」
「なんだ、その原罪とは?」
そこまで言ったところでギウムはそれは言ってはならぬことであることに気付いた。もしそれを今のアサミにいうと、彼女の心身が崩壊してしまう事に!
「それは、言ってはならないと、この世界の創造主からのお達しがあるから、いう事はできない。しかし一つだけ言うと、彼女のその魂は聖なるものにも悪しきものにも、そのどちらにもなれるし・・・
だから、周囲の者が聖なるものに彼女を昇華さねなければならない、特にそこにいるタクヤとやら! 頼むぞ!」
そういってギウムはタクヤの手をアサミの手に合わせ、自らは何かを祈り始めた。それは、まるで何かを封印しようとしているような呪文を口にしていた。




