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169.ギウム・ファーレンゲロルガーの疑念

 今日ティアム山の神殿に到達した魔導士研修の一行は、その他の班からすれば何ら特筆すべきものはないはずだった。大金を積んで魔導士になるための能力を身に着けた者もいたし、代々続く魔導士という家柄出身の者もいた。


 だから、そのまま魔導士になれたとしても、すぐに活躍できるようには見えなかった。実際、ファビー班に対し同期の者からは、ただマグレで残っただけだと思われていた。

 アサミやタクヤが、いくら伝説の魔導士にゆかりのある魔道具を手にしていたとしても、使いこなせるような実力などないだろう、使えたのもマグレだし、異世界からの召喚者の割には平凡なルックスにしか見えないという印象だった。


 しかし、ギウム・ファーレンゲロルガーにはアサミの潜在能力が見えたのだ。彼女に善と悪の強大な面が混在しているのを。


 「あの娘だが、事前に送られてきた報告書は特に珍しいことはないと思ったんだぞ。転生してきた者も珍しくもないし、姿かたちが変わってしまうことも。そんなことは、この世界では珍しくないことだ。

しかし、彼女のかわいらしい表面に騙されそうになったが、邪悪な者が隠れているようだ。しかも、本人は一切自覚していないようだが・・・そちらでも気づいているんだろ、そのことを」


 相手はしばらく沈黙していた。それは永遠のような気がいた。そう思うぐらい重い空気が流れていた。本当に何も教えられないと思うぐらいの雰囲気だったが、会話は続いた。


 「それは・・・御神託で全て預言されているんです、彼女の将来は・・・魔導士ギルドの監察官の中でも懸念しているものは少なくないのですが、筆頭統領の指示で魔導士の列に加えられようとしています」


 「なんだって? あの御神託所の巫女あがりの指示だというのか? それに御神託が個人に対して出されることが・・・それって、たしか世界が困難に直面する事を意味するだろうが・・・」


 その時、ギウムは膝を恐怖でかくかくさせていた。御神託で個人を名指しする場合、それは残虐な独裁者か、もしくは邪悪な魔導士が出現する場合に限られていたからだ。もし、御神託が事実だとすればアサミは脅威ということかもしれなかった。


 「しかし、神官ギウム。筆頭統領の話では御懸念すべきではないということです。あのアサミはむしろ邪悪な者を打ち破れる存在だということです。御神託の内容ですが全てを見たことはありませんが、よき方向に導くものだとされているようです。ただ・・」


 「ただってなんだ? もしかするとアサミと対になるような存在があるというのかよ? そんなことってあるのか・・・」


 「ええ、それが何を意味をするのか御神託の管理者たちは一切語らないのですよ、あのおしゃべりな筆頭統領も。ですが、漏れ聞いた内容からすれば、もう困難な事態は目の前にせまっているのだと。その事態に対処するためにあのアサミとタクヤの力が必要なんだというのです」

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