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168.晩餐のあとに

 神殿の責任者であるギウム・ファーレンゲロルガーに晩餐会の場に招待されたが、このような山奥なので大した食事をみんな期待していなかった。昨日泊まった山小屋の食事はひどいもので、保存用の豆やイモを炊いただけで味もついていなかった。だからここも一緒だとおもったからだ。


 しかし、テーブルの上にあるのは贅をつくしたものとまでは言えないが、それなりの食事が用意されていた。しかも野菜や果物など、荒野にある神殿で手に入るとは思えないほど新鮮なものだった。


 「ご招待ありがとうございます」


 「いいよ、うちは毎回新人魔導士の研修生を受け入れているけど、二日目に登ってきたのは久しぶりだよ。君たちもこの下にある山小屋で野宿するんじゃないかと思って、食料を用意していたんだが・・・まあ、うれしい誤算だな。そうそうお代だが後で魔導士ギルドに請求するから心配しなくてもいいぞ」


 一行と神殿の三人は晩餐の卓に付いたが、大きな空間がなんとなく寂しい雰囲気であった。それを察したのかギウム・ファーレンゲロルガーはこの神殿の歴史を語り始めた。


 「ここはな、破綻戦争以前にあった都市の基礎の上に建っているんじゃよ。昔はどんな姿だったかわからないけど、大規模な地殻変動でこんな急峻な山になったんだ。

 ここは迫害を受けていた時代の魔導士の隠れ里として作られたんだが、いまは必要がなくなってからの。だから、この神殿は昔の遺跡の管理もしているんじゃよ」


 「そういうことは、昔はここに数多くの人が住んでいたわけですか。それで、こんなに広いのですね」


 「そういうことだよ。まあ、今では好き好んでこんな山奥で修業するのも少ないからな。ここで学べることもあまり多くないしね。そういうわしも、ここでしていることといえば温室で野菜や果物を作っているぐらいしな」


 そんな話を止め処なくしていたが、他にやることがなかったので、それなりに楽しんでいた。そして夜もくれたので、床に就くことになった。一行は部屋に案内されたが、そこは質素ではあったが昨日よりもマシな部屋だった。ひと安心といったとこだった。


 しかし一方のギウム・ファーレンゲロルガーは違っていた。自室に戻るとさきほどとは違って厳しい表情をしていた。彼は連絡板を操作して魔導士ギルドの本部に連絡していた。一行のうちアサミの事が気になったからだ。


 「研修本部長。今日受け入れた研修生のうち、あのアサミという娘の正体は一体なんなんだ? 聖なる力も邪悪な力も兼ね備わっているようだが、あんなに双方が強い娘って何者なんだ?」

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